第3部 始祖の祈祷書
第4章 三つ巴の探り合い
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際、この『始祖の祈祷書』を用いることなど。
「なるほど」
キュルケはそう言って始祖の祈祷書のを見つめた。
「ところで、さっきまで何を編んでいたの?」
ルイズは、頬をバラ色に染めた。
「な、何を編んでなんかないわ」
「編んでた。ほら、ここでしょ?」
キュルケは、さっと始祖の祈祷書の下から、ルイズの作品を取り上げた。
「か、返しなさいよ!」
ルイズは取り返そうとするが、キュルケに手で頭を押さえつけられてしまった。
「こ、これなに?」
キュルケはぽかんの口を開けて、ルイズの編んだオブジェを見つめた。
「セ、セーターよ」
「セーター?ヒトデのぬいぐるみにしか見えないわ」
「そんなの編むわけないじゃないの!」
ルイズはキュルケの手から、やっとの思いで編み物を取り返すと、恥ずかしそうに俯いた。
「あなた、セーターなんか編んでどうする気?」
「あんたに関係ないじゃない」
「いいのよルイズ。私はわかってるわ」
キュルケは、再びルイズの肩に手を回すと、顔を近づけた。
「ウルキオラになにか編んでいるんでしょう?」
「あなたってほんとにわかりやすいのね。好きになっちゃったの?助けてもらったから?」
ルイズの目を覗き込むようにして、キュルケは尋ねた。
「す、好きなんかじゃないわ。あんな奴…す、好きなのはあんたでしょ?」
「あのねルイズ。あなたって嘘つくとき、耳たぶが震えるの知ってた?」
ルイズははっとして耳たぶをつまんだ。
すぐに、キュルケの嘘に気付き、慌てて手を膝の上に戻す。
「と、とにかく、あんたになんかあげないんだから。ウルキオラは私の使い魔なんだからね」
キュルケはにやっと笑って言った。
「独占欲が強いのはいいけれど、あなたが今心配するのは、私じゃなくってよ?」
「どういう意味よ」
「ほら……、なんだっけ。あの、厨房のメイド」
ルイズの目が吊り上った。
「あら?心当たりがあるの?」
「べ、別に……」
「今、ヴィストリの広場に行ったら、面白いものが見られるかもよ?」
ルイズはすくっと立ち上がった。
「好きでもなんでもないんじゃないの?」
楽しげな声で、キュルケが言うとルイズは、「ちょ、ちょっと運動するだけよ!」と怒鳴って、ヴィストリの広場に駆けだした。
ウルキオラは、昨日と同じようにヴィストリの広場にある椅子に座り読書をしていた。
図書室でタバサに勧められた本である。
『イーヴァルディーの勇者』という本である。
ウルキオラも自分のルーンと同じ名だったので、読んでみることにした。
なんでも、有名な本らしい。
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