暁 〜小説投稿サイト〜
劇場版・少年少女の戦極時代
天下分け目の戦国MOVIE大合戦
グランドフィナーレ
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 そして今日、あの日と同じステージで、ライダーバトルロイヤルステージが改めて開催される。

 暗い客席から、スポットライトで照らされた中央ステージを見やる。ステージにいるのは、黒影に変身できる初瀬と、グリドンに変身できる城乃内だけ。

《いよいよファイナル・ステージ! レイドワイルドとインヴィットの、首位を賭けての一騎打ちだ》

 紘汰、光実、戒斗が失踪したことで、必然的に初瀬と城乃内のチームのランキングが上がり、どちらが頂点になるかを決するバトルになってしまった。

「ザンネンね。『鎧武』に変身したら咲も参加できたかもしれないのに」
「だめだよ、ヘキサ。だって鎧武は紘汰くんだもん。あたしじゃない」

 あの時。レジェンドロックシード(モン太とチューやんに倣ってそう呼ぶことにした)は変身を解くなり消えてしまった。
 あの一回。紘汰と心通じ合わせたたった一回の奇跡のようなものだったのだ。咲はそう思うようにしていた。

「あーあ。光兄さんか葛葉さんがいれば、チーム鎧武も今ごろ……」

 ヘキサらしくもなくふて腐れる様が可愛くて、咲はヘキサの手を握った。

「なあに、急に」
「えへへ〜。ひみつ」

 レジェンドライダーに変身した時に、オレンジの裂け目の向こうに見た鎧武を思い出す。あれは最後の戦いだったように見えた。

(もしかしたら、もうすぐ帰って来るかも、なんて)

 まさにそう思った瞬間だった。ステージにオレンジ色のクラックが開いたのは。

 裂け目から飛び出して来たのは、紘汰に光実、舞、それに戒斗だ。

《おおっと! ステージに現れたのは、行方不明になっていた鎧武にバロン、龍玄たちじゃないか》



 ヘキサはつい客席を立ち上がった。

「光兄さんっ」

 ずっと音信不通だった次兄の元気な姿に、声はつい感極まったものになった。

 涙さえ浮かべていたところで、ポケットのスマートホンが鳴動した。

 ヘキサはスマートホンを取り出した。新着メールが1件あったので、開いてみて、――笑顔を堪えきれなかった。

『 ただいま  From;呉島貴虎 』




 紘汰たちの帰還に、彼らのチームメイトが前に出て彼らを出迎えている。

 咲の中にうずうずと込み上げるものがある。咲はそれに任せてスロープを跳び跨ぎ、ステージに着地した。

「咲!?」
「紘汰くんとミッチくんがいるなら話はベツなのっ」

 咲は、再びバトルロイヤルのステージに立った男たちの輪へと、走った。

 ――ヒデヨシとチャチャを想う。元より戦を望まなかった夫婦だ。今頃は戦の終わった戦極の世を助け導いているかもしれない。そう思うと、咲の心はじんわりと温まった。

 ぬくもりは熱に変えて。咲は咲
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ