第17話
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そして、『常磐』の後部甲板にその身を横たえた一夏にゆっくりと近づいていく常磐は、
「何で、こんなにボロボロになるんだ。どんな事が起きればこんな事に」
と言葉を詰まらせた。そう、今の一夏の状態は、未だにレギオン化のままであったが、その身体の彼方此方に深い切り傷や剥がれ落ちて内部の一部が露出しており、誰が見ても重傷の他ならなかった。
「この生物を助けたいけど、如何すればいいの?」
と常磐が困惑した。その時、突如として、その生物が光り輝いた。そして、その身体が段々と人(一夏)の身体になった。その光景を見た常磐は一層困惑した。
「え、え、え、あの生物が光り出したと思えば、人間になった!?如何いう事?」
と困惑しながらもその人の手を取った瞬間、常磐の目の前が光り輝き意識がとんだ。
常磐は、突如目の前が光り輝いたと思い、目を細めた。そして、目の前の光がゆっくりと消えていき、常磐が目を開けていった。そして目の前に広がった空間に目を開いた。
「此処って、概念伝達の相互通信システムの構築型庭園!なんでただの人間がこの中にいるの!」
と常磐が吃驚とした。そして、その庭園の真ん中の洋風のあずま屋に一人の少年が倒れていた。それを見た常磐は、速やかに近付いてその少年を見た。
「何であの子がここにいるのよ」
と言いながらも、その少年の体調を見た。
『被検体スキャニング開始。生体反応あり、ただし、至急に治療の必要あり。内外に深刻なダメージあり。DNA内に未確認塩基組織発見。全細胞組織体に珪素成分に近い未知の元素含有』
という結果が常磐の目の前に表示された。
「え、と言う事は、この子は正確にはもう人間ではないってこと!」
と常磐は、表示された結果に心底驚いた。
「どうやったら、助けられるの?」
と困惑しながらも何か手を打った方が良いのではと、常磐が一夏に近付いていった。その時、一夏が苦しげを堪えながら、小さく途切れ途切れにか細い言葉を発した。
「はあ、はあ、少しでも体組織の栄養を補給しないと...近くに珪素がある所に連れて行ってくれ...頼む。後は、自分で何とかするから」
と言った。
「え、近くに珪素がある所って何処よ」
と言いながらも、必死になって自身の情報網をフル稼働させた結果。付近の海底の地下に大量に超高純度(99.999999999999999%)の珪素が埋って居る地殻があることを突き止め、概念伝達の相互通信システムを切断し、意識を艦に戻し、急速に急角度で海底を突き進んでいった。
そして、わずか数秒後にハワイの海域内で一番の深度に常磐は、艦を着底させた。
ハワイ沖海域のある深海3000メートルの海底に着底した『常磐』は、機関を停止した。その後部甲板にいるのは一夏と常磐の二人だけだった。
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