第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十七日:『狂信者』
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術だろうが。つーか当たり前に溶け込むとか滑瓢か、お前は。
寒々しい感覚に、平静を取り戻す。そして思い出す、己にはまだやるべき事があったと。
『さてさて、それじゃあオイラはそろそろ御暇するニャア。猫の集会でコレがコレなもんでナ〜ゴ』
「あらそう、じゃあコレ。今回の働き分だ、端金だけどにゃ〜?」
改まって戯けた仕草で沈利に断りを入れれば、渡されたマネーカード。どこぞで換金すれば、足はつかない。
有り難く頂戴し、懐に。因みに、発信器等が仕込まれていればこの時点で不具合を起こしていよう。
「じゃあね、じゃーびす」
『うい、それじゃあまたニャアゴ、理后ちゃん、フレンダちゃん、最愛ちゃん、頭目』
ひらひらと手を振りながら、曲がり角を曲がって消える黒猫男とその背中の悪姫。
最後に、振り向いていた背中の存在が──燃え盛るような三つの瞳と嘲笑をもって此方を見詰めていたような気がして、四人は一瞬、背骨の髄までの震えを感じて。
「ところでさぁ……」
「何よ、麦野?」
そんな二人を見送った後で、『アイテム』の頭目は首を傾げる。まるで、何か重大な事を思い出したように。
「あのさぁ、今回の仕事なんだけど……私、『三人』って言わなかったっけ?」
直ぐに忘れてしまう、そんなことを口にした…………。
………………
…………
……
腐臭漂う下水の中、『死体蘇生者』は手術台より頭を上げる。
対するは、女。麗しきメイドドレスの、両の目を抑えて泣くかのような……妖艶な長女であった。
「可哀想。可哀想ね、『死体蘇生者』。貴方は失敗した、そして『あのお方』は失敗者を赦さない。何故なら、あの方は『寛容ならざる神』だから」
涙を堪えるかのような仕草で、くすり、くすりと娘が嘲笑う。『可哀想』等とは御題目、真実、あの存在は喜悦以外に感じてはいまい。
『黙れ』と『棘』を振るう。串刺しに貫かれ、しかし、平然と長女は此方を嘲笑って。
「さぁ───機械のように冷静に、チク・タク。チク・タク。機械のように冷厳に、チク・タク。チク・タク。機械のように冷酷に、チク・タク。チク・タク! 飢える、飢える────喚ぶの!」
「───────!?!」
熱を籠めて『知る筈もない何か』を喚ぶその女に、『死体蘇生者』は生まれて初めての恐怖を得る。今、漸く思い至ったのだ、『自らの愚かさ』に。
だが、
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