第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十七日:『狂信者』
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ただけのバスケットのフットワークで縫いながら。
「呵呵、この緊張感がたまらんのう! よし、嚆矢よ! 今の、鉄の駕籠躱しをもう一度所望するのじゃ!」
『もうやらんニャア、疲れてるって言ってるナ〜ゴ!』
「何じゃ、つまらんのう。はっは〜ん……さては貴様、ゴネ得を狙っておろう? 長谷部だけでなく、『鎧』もあわよくば、と」
『ち、違うもんニャア──ゴッ?!』
若干の図星を突かれて焦った、対面の歩道への着地のその瞬間。ずるっ、と足が滑る。見れば路面には、何か液体の零れたような黒い染みがあった。
両腕でバランスを取ろうとするも、背中には何時もはない過重量。堪えきれずに背中から、車道に向けて傾く。更に泣きっ面に蜂、大型のトラックが直ぐ間近に迫り────
『んニ゛ャ?!』
「──ったく、超世話の焼ける」
「結局、詰めが甘いわけよ」
その両腕を、最愛とフレンダに引かれて事なきを得る。走り去るトラックから『気を付けろ』とお決まりの野次が飛ぶが、馬耳東風だ。
「まぁ、詰まらない事で折角の戦力を削られるのは超ゴメンですし」
「そう言う事なのよね〜、あんたの『正体非在』、結局理屈は分かんないけど役に立つわけだし」
最愛は面倒そうに、フレンダは茶化すようにそう口にして手を離す。そして、まるで……こちらに歩幅を合わせてくれているように、ゆっくりと先を歩いている。
──まさか、これは……二人纏めて好感度+1?! くっ……苦節十八年、漸く俺にも春の足音が!
「ヒュッ────ザシュッ! ブシャアッ!」
「……何で今、そこで斬殺音入ったし」
「えっ……丁度四人だし、相殺?」
「殺すんならお前からだっ!」
「なんと……儂も罪作りよのう。美しすぎる第六天魔王とは、また」
「今すぐ降・り・ろ!」
からから笑う背後の悪神を揺り落とそうと、ヘビメタのように激しく体を揺する嚆矢。それを裸馬を乗り熟す要領で制している市媛。
そんな、端から見ると痴話喧嘩でもしているような二人組を、最愛とフレンダは溜め息混じりに。
「本当、結局あんたら兄妹って仲良すぎなわけよ」
そっぽを向いたままの最愛の代弁も兼ねて、苦笑いしながらフレンダがその一言を発する。明らかな、齟齬を。
それに、嚆矢は動きを止める。真面目な顔は、ショゴスの猫覆面に隠れて見えはしまいが。
──『兄妹』。何故か、こいつは最初から四人にそう認識されていた。俺と一緒に『アイテム』に入った妹、大能力者の『均衡崩壊』なる能力者……という事になっているらしい。
まあ、十中八九魔
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