Interview9 我が身を証に
「お前には傑出した才能があるのだ」
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ルドガーたちが揃って1階エントランスホールに降りると、ちょうどエリーゼとアルヴィンが入って来たところだった。
「エル!」
エリーゼがエントランスを抜けて、真っ先にエルに向かって駆けてきた。
「エリーゼっ。おかえり〜」
「ナァ〜」
「ただいまです。怖いことや変わったこと、ありませんでした?」
「えっとね。エル、ルドガーと一緒にオシゴトすることになったよっ」
「お仕事?」
「うん。カナンのミチシルベを探して、持って帰るんだって」
エリーゼがルドガーを見上げてきた。そんな危ないことをエルにやらせるのか、と目線がありあり語っている。
「安心していいのよ、エリーゼ。その時はイリスも共に行って、エルに傷一つ付けさせないから」
エリーゼは答えず、まるで我が身に起きたことのように憂いを強く浮かべた。エルを親身になって心配してくれる人間は一人でも多いほうがいい。ルドガーは単純にその点を喜んだ。
「ジュードとレイアもか」
アルヴィンの確認に、レイアもジュードも肯いた。
「んじゃ、俺も付いてこーかな」
『さびしがり屋ー』
「そうだよ。そういう自分、認めることにしたんだ」
「じゃあとりあえず、一緒に来てくれ。これから骸殻の使い方、レクチャーしてくれるらしいから」
ルドガーは地下専用エレベーターを指差した。一年前にあれに乗ってエージェント試験を受けたことが、まるで遠い過去のように思える。
「りょーかいっと」
「はい。また一緒させてください、エル」
「うんっ」
地下訓練場でのビズリーのレクチャーは至極単純なもので、CS黒匣ガードを相手に骸殻に変身して戦うというものだった。
ルドガーは列車で初めて変身した時の感触を思い起こしながら時計を起動し、骸殻を使ってどうにかCS黒匣ガードを全て破壊した。
「何でルドガーにこんな力が……」
「ルドガーが尊師――始祖クルスニクの末裔だから」
エルたちの輪を離れて訓練場の隅にいたイリスが、会話に参加した。
「クルスニク……意思の槍を持つ、創世の賢者だよね」
「リーゼ・マクシアではそうらしいわね」
「賢者じゃないなら、何?」
「精霊どもの悪趣味なゲームの最たる被害者」
頭に閃く、シャドウとヴェリウスから観せられた、ある少女の過去。――一族に裏切られ、時歪の因子化が進んで臥せった始祖。始祖に代わって苛烈に一族を治め、死に物狂いでカナンの地を目指した少女。
「2000年前にね、原初の三霊――オリジン、クロノス、マクスウェルと、人類が賭けをしたの。尊師は不幸にも人類代表に選ばれた。内容はシンプル。『願い』というエサをぶら下げて、人類が『待て』をできるか、はたまた我慢できずにエサに食いつくか。酷い話でし
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