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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-23
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なかった。何もわからない。でも、分かることが一つだけある。
 自分は無力だということだ。


『暗いね、ちーちゃん』
「その声はっ……! 束……?」
『ハロハロ〜。久しぶり、私は別に会いたくなかったけど、なんか変な空気を感じちゃったからしょうがなく繋いであげたよ』
「たっ、束っ! あの戦いはいつ終わるんだ!?」


 急に管制室に響いた束の声。先程から連絡を取ろうとしていたがなかなか応答せず、話す気がないのかと半ば落胆していたが、急につながったことに千冬は珍しく束に感謝した。そして束に問う。でも、束はそんな千冬を見て寂しそうな笑みを浮かべるだけだった。すぐにいつもの何を考えているか分からないニコニコとした表情に戻った。しかし、千冬は束の小さな表情の変化を見逃してしまった。これが後々どう影響するかは分からないが、束にとって一つの楔が取れた瞬間でもあった。
 幼いころからの親友。そんな関係にある千冬なら自分のことにも気づいてくれるはずだと束は、かすかな希望にすべてをかけてた。――――結果は、すべてを裏切られた。こんな時でも気づいてくれると思っていたのに。


 ……どうあれ、束を縛っていた鎖の一つが砕け散った。
 この自分にしか分からない結果に喜ぶ自分と悲しむ自分がいる。でも、もう関係ない。親友だった織斑千冬はいないのだ。一方的なのは束自身でもわかっている。それでも、彼女のことを試してみたかったのだ。


『大丈夫だよ、ちーちゃん。もうすぐ終わるから。それじゃ、また近いうちに話そうねちーちゃん』
「束っ!? 束っ!!」


 一方的に切られた。友人からも見捨てられたような気がした千冬は、力なく肩を落とす。そんな嘗ての世界最強の姿に真耶と楯無はかける言葉が見つからなかった。
 モニターに目を移すと、束の言った通りに音速戦闘が終わりを迎えようとしていた。


 ◯


「流石に、これ以上の、戦闘は、きついものが、ありますね」
「はっ、ここで仕留めるつもりだったんだけどなあ。まあ、俺も限界だ。どうだ、ここら辺で打ち切らねえか?」
「もっと続けたいところですが、戻る分を考えるとここで終わらせた方が聡明ですね。Mとオータムを連れ帰るからもう手を出さないでもらえるかしら?」


 スコールの言葉に沈黙で答えた蓮。強がってはいるが、体が限界だ。これ以上は戦うこともままらないだろう。体力の消耗も激しい。蓮とスコール共にここら辺が引き際と見た。大人しくMとオータムを抱えていまだに張り直されないアリーナを覆うシールドの穴から抜けて飛んでいく。
 それを見届けた蓮はあと一頑張りだと暴走体の方を見ると、鈴音が壁際に追い込んで龍砲を一当てし、双天牙月で一閃するとエネルギーが尽きたのか黒い塊がが瓦解し、ラウラが開放されて
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