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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-23
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酬。滅多に起こらないIS同士の近接格闘戦。蓮対スコールの戦いは熾烈を極めた。
 辺りに響き渡る不協和音がその先頭の凄まじさを物語っている。最初の方は、ウォーミングアップと言わんばかりにお互いにヒット&アウェイを繰り返していたが、特にきっかけもなくいつの間にかラッシュ戦になっている。


 まず間違いなく肉眼で捉えることは不可能な速度でアリーナ全体を十分に使い、ただ愚直に相手を倒すことだけを考えて二人はブレードを振るい続ける。二人の頭の中には遠距離武装を使うという選択肢は存在していなかった。なぜなら、遠距離武装、例えばアサルトライフルなりに持ち替えた瞬間に相手に押し切られると分かっているからだ。故に千日手にもなりかねない状況に置かれているのにも拘らず、ブレードだけを振るい続ける。


 光が瞬いたと思ったら今度は別の場所で瞬く。遠く離れているわけでもないのに音が遅れて聞こえてくる。音速を超えた戦闘に二人の体は悲鳴を上げ始めていた。いくらISが操縦者を守ってくれるからといって操縦者を襲う衝撃などからは守れないのである。となると、二人を襲うのはお互いだけではなく強烈なGも精神を確実にむしばんでいた。
 常人では、まずやろうともしない音速戦闘。二人はただ相手を倒すという単純な理由で音速戦闘を行っているのだ。いや、二人は別に意識もしていない。単純な目的を達成する過程でこうなってしまっただけにすぎないのだ。


 とはいえ、こんな常識を超えた戦闘を続けるなんて確実に間違っている。異常なまでに体に負担をかける音速戦闘を真耶は管制室で何とかやめさせようと考えを巡らせていた。一応先程から呼びかけているのだが、返事がない。拒否はされていない筈だから通じている筈なのに彼は通信に応答しようとしない。


「山田先生、無駄だ。彼には聞こえていない」
「でも、今すぐにあの戦いを止めさせないと見袰衣君は、最悪後遺症を残すかもしれないんですよ!?」
「そんなことはっ!! 分かっているんだ……そんなことは実際に体験したことがあるから私は知っているんだ。あの状態で連絡しても音速を超えているから音が届かないんだ。聞こえるのはノイズだけ。いや、御袰衣は戦いに集中しているからそれすらも聞こえてないのかもな」
「そんなっ……じゃあどうしたら」
「……決着を待つしかない。あの二人は止まらない」


 何とかしようとしても叩きつけられる無情な現実。教師であるのに生徒一人すら守れない未熟さにいらだった。それと同時にこんな緊急事態なのに何も出来ていない自分の無力さを呪った。ただ歯を食いしばって無事を祈ることしかできない自分の無力さに腹が立った。


 そして教師二人の話を同じ管制室にいた楯無は聞いていた。聞きたくなかった事実。自分の身を削ってまで戦う意味が分から
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