第七話
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意外と教室の隅々まで見渡せるものだ。端っこの席で携帯を弄ったりすると、案外簡単にバレるものなのである。
それに、教師にはバレていなくても、彼女の後ろの席の子供たちにはバレている。普段、授業態度がしっかりしている彼女だけに、この居眠りは非常に目立つ。
現に、アリサやすずかも驚いた顔をしているし、同時に葵の背中には、アリサとすずかを含む、多数の強い視線が突き刺さっていた。
―――曰く、早く起こせよ!―――と。
(・・・くっそ、簡単に言ってくれるぜ・・・)
昨夜―――というより、既に今日の早朝だったのだが―――その時間まで、葵と高町家の話し合いは続いていたのだ。葵の体調の事を考えた高町家の面々は翌日に話し合おうとも言ってくれた。しかし、その時点で既に登校時刻まで4時間もなく、今更寝ても仕方がないし、地球の未来がかかっている話し合いだから大事な部分だけはさっさと決めておきたかった葵は、彼の両親が起床するギリギリまで打ち合わせを続けていたのだ。
なのはは士郎や桃子が部屋に行って休みなさいと言われて渋々行ったが、原作よりも命の危険があったあの戦いで興奮して、なかなか寝付けなかったようだ。おまけに、リビングでは他の家族と、彼女の親友である葵が、地球の未来をかけた話し合いをしているのである。気になって当然だ。
葵は前世で徹夜など腐るほど経験している。まだまだ成長期である体は睡眠を欲してはいたが、それも意思の力で押さえつける事が出来る。が、彼女には辛いだろう。
実際、朝見た彼女の顔には、強い疲労感が漂っていた。
(可哀想だけど・・・怒られるよりはマシだと思ってくれ)
事情を知っている彼としてはこのまま寝かせてやりたいが、そうもいかない。怒られるのはなのはなのだ。彼女のために、心を鬼にして起こすことに決めた葵は、そ〜っと手を伸ばし、彼女の肩を叩いた。
「なのは、起き―――
「うひゃあ!?」
その刺激に驚いた彼女は、文字通り飛び上がった。その叫び声は当然教室中に響き、教師が訝しげにコチラを見る。なのはは顔を赤くし、葵は乾いた笑いを溢し、そして周囲の生徒は、顔に手を当ててため息を吐く。
「・・・何か弁明は?」
「俺がやりました。」
まるで犯罪者のような台詞を吐き、彼はなのはを庇ったのだった。
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