Interview8 蝕の精霊 T
「わたしが契約する!!」
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
床を掻き、さらに深く上半身を前へ傾ける。
「だ、いじょう、ぶ……イリス、は、何百年も、こうやって進化、して、きた。だから今回、も……あ、く、うああああっ!!」
ちっとも大丈夫には見えないが、ルドガーにはどうしていいか分からない。
『マナが、足りない……蝕を抑えるだけのマナが……ああ、悔しい、くやしい…! 結局はイリスも精霊どもの同類か! 人類から生命を徴収する賤奴に堕ち果てて……ああ、痛い、イタイ! 臓物が腐る! 目玉が融ける! 皮が爛れる! イヤ、イヤよ……精霊と同じカラクリで機能するなんてイヤなのに……アア、崩れる、崩れて、なくなる……『イリス』が消える……ああああああっ! アアアアア゛ア゛ア゛ア゛!!!!』
未だかつて人生でこれほど壮絶な悲鳴をルドガーは知らない。その様は悲痛を超えて圧倒的で、音の暴威にすら感じられた。
イリスを囲むように、天井と床を突き破って、太いコードやケーブルが生えた。イリスはそれらの濁流に上下から呑み込まれた。
ルドガーがその触手の群れに触れた時、すでに触手は昆虫の繭のような形を成していた。
「イリス! イリス!!」
ルドガーは「繭」を叩いた。だが「繭」はビクともせず、イリスのいらえもない。
「なんかヤバげな雰囲気だから、とりあえず全員外に出てっ」
バランの号令に従い、何度もイリスをふり返りながら、ルドガーは最後に研究室を出た。
バランが職員IDをカードリーダに当てて何か操作している。すると、壁の一部がシャッターのように上がり、ガラス窓から室内を覗けるようになった。
「イリス、イリス!!」
「繭」は依然としてイリスを閉じ込め、今イリスがどういう状況にあるかを教えない。だが、これがずっと続いてはならないという予感だけは、ルドガーの中を席巻していた。
「どーすんだよ。このままじゃ研究室どころか、研究所まで溶解しかねねえぞ」
「――直接使役」
ジュードが発した単語に、皆が注目した。
「ミュゼは前に力が足りなかった時、僕の直接使役で力が戻ったって言った。同じ原理がイリスに通用するか分からないけど……現状、僕が考え付くのはそれくらいだ」
「その直接使役ってやつ、どうやるんだ!?」
ルドガーはジュードに詰め寄った。
「なるべくそばにいて、マナを絶えず供給する……人間側からはそのくらいだけど」
「分かった。俺、やるよ。イリスは俺の一族の先祖だ。俺が契約するのがベストだろ」
「残念だけど、霊力野がない人間じゃ精霊にマナを与えることはできないんだよ。ルドガーはエレンピオス人なんでしょう?」
「そんな――」
助けたい気持ちがあるのに体にそのための機能がない。エレンピオス人として当然のスペックは、人類ス
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ