Interview6 End meets Start U
「このひとにだけはきらわれたくない」
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っていた。源霊匣ヴォルトの電流で体中が痛くて堪らないはずなのに、ルドガーに笑いかけたのだ。
(同じだ。初めて会った時も、この人は精霊たちと戦いながら、こんなふうに笑った)
――1年前のイリスはいかな見返りもなく、ルドガーのために戦って傷ついた。それが当たり前だというように。
(他人にどうしてほしいとかどう思ってほしいとか思ったことはない。お人好しってよく言われたけど、俺がしたいからしてるんだし。だから礼なんて言わなくていい。お返しなんて要らない。俺ぐらいの奴なんて、そこら中に溢れ返ってるよ)
あそこにいたのが別のクルスニク血縁者、たとえばユリウスでもイリスは同じことをしたと断言できる。
(俺なんか何の役にも立たないし、何もできないし。イリスが傷ついてまで守る価値なんてないんだよ。だから、やめろよ。もう傷つかないでくれ。もう頑張らないでくれ)
傷ついているのはイリスとて同じなのに。自分はいいのだと笑って言った。
ルドガー・ウィル・クルスニクは人生で初めて、想ったのだ。
(このひとにだけはきらわれたくない)
「イリスッッ!!」
イリスと源霊匣ヴォルトの間に飛び出して双剣の片方を抜いた。
大上段に剣を振り被る。紫電の閃き。この触手を斬れば感電する。分かっている。分かっていてももう引けない。
(後からイリスに、俺なんか守らなきゃよかった、頑張って損した、なんて思われたくない。今まで通りに接してほしい。だって、イリスは)
無償の愛を惜しみなく注いでくれた、「 」のようなひと、だから。
ルドガーは剣を振り下ろし、イリスと源霊匣ヴォルトを繋ぐ触手を全て切断した。
大量の電流が、刀身から手へ、手から全身へ伝わった。
「ルドガーっっ!!」
イリスの悲鳴のような呼びかけを最後に、ルドガーの意識は途切れた。
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