第百八十八話 宇喜多直家その七
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それ故にだ、その戦もというのだ。
「手強いぞ」
「油断は出来ぬ」
「そういうことですな」
「そうじゃ」
まさにその通りだというのだ。
「だからじゃ、よいな」
「はい、では」
「我等も」
「殿をお助けしてな」
そのうえでだというのだ。
「勝とうぞ」
「ですな、何があろうとも」
「敵との戦に」
こう話してだ、そのうえでだった。
荒木が率いる美作に入った軍勢も戦をすることなく国を手中に収めていった、それは因幡でもほぼ同じだった。
城という城、国人という国人がだった。
雪崩の様に織田家に馳せ参じてきた、これには先陣を務める山中も目を丸くして言うのだった。
「これはな」
「思いも寄りませんでしたな」
「まさかここまでとは」
「ほぼ戦をせずにです」
「城が次々と降ってきます」
彼の周りにいる尼子十人衆も言う。
「備前で勝ったとは聞いていましたが」
「国人達が雪崩を打って降ってくるとは」
「いや、これはまた」
「大きいですな」
「全くじゃ、後はじゃ」
山中は十人衆に対して言うのだった。
「鳥取城だけじゃな」
「あの城ですな」
「あの城を陥とせばですな」
「この因幡は織田家のもの」
「そうなりますな」
「そしてじゃ」
そのうえでだと言うのだった。
「尼子家もな」
「復興ですな」
「それが成りますな」
「うむ、成る」
この勢いで進めばというのだ。
「見事な」
「ですな、それでは」
「このままです」
「富田城まで進み」
「そのうえで」
「我等の悲願が成る」
尼子家復興がというのだ。
「ようやくな」
「そう思いますと」
十人衆の一人が言うことはというと。
「織田家、そして殿は」
「かなりのものじゃな」
「まさかここまでとは」
「我等は山陰を進み」
長政と羽柴はそう命じられている、無論山中もだ。
「そのうえでな」
「一気にですな」
「因幡を手に入れ」
「そして鳥取城も」
「あの城も」
「このままいくとすぐじゃ」
鳥取城を攻めることもだというのだ。
「あの城さえ手に入れれば因幡は完全に我等のものじゃ」
「既にです」
また十人衆の一人が言う。
「因幡の国人の殆どが織田家に馳せ参じていますし」
「毛利家の兵がいるあの城だけです」
「そうじゃな、しかしじゃ」
ここで山中は目を鋭くさせた、そうして言うことはというと。
「鳥取城を守るのは吉川経家殿じゃ」
「毛利家でも名将ですな」
「実に手強い方です」
「だからじゃ」
それでだというのだ。
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