Interview6 End meets Start U
「所詮は刀のくせに」
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歯車の集合体が載っていた。
「何ともない? エル」
「うん――」
エルはぽやーっとした気分でイリスを見上げていた。この時に限り、エルの中では危機感がなかった。
「エル、手を出してちょうだい」
意図は分からないまま両手を差し出す。イリスは差し出したエルの手の上に、白金の歯車の集合体を置いた。
それを見計らったかのように、景色がガラスのようにひび割れ、崩れ落ちていった。
場所こそ同じだが、先ほどまでいた世界とは異なる。正しい世界に帰ってきた。何の根拠もなく、エルはそう感じ取った。
「離さないで。無くさないで。とても大切な物だから。貴女にとっての『パパ』の時計と同じくらい。これを託せるのは貴女しかいないの」
自分しかいない。それほどの大役を幼いエルに任せる者などいなかったから、エルの胸は期待に躍った。エルは白金の歯車の集合体を胸に強く押しつけた。
その時だった。胸に硬い感触があった。
見下ろすと、エルはいつのまにか父から託された真鍮の懐中時計を首から提げていた。
“エル”
「ルドガーが呼んでる」
「……そう。あの子は分史世界に入ったのね」
エルは天を仰いだ。曇った空があるだけのそこに、エルはイリスらとは異なる人物を視ていた。
「ごめんなさい。少し借りるわ」
イリスがエルの時計を掬い上げ、手に取った。
――光の柱がイリスを包んだ。エルの前から、イリスだけが消えた。
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