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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆自己の非同一性
第五十六話 絶体絶命の時、重なる二人の想い
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 シノン――彼女はここに何も分からずに放り出された俺を助けてくれた。
 俺の相談に乗ってくれたのも彼女だ。自分を見失い、苦しんでいた俺に、新たな道を示してくれた。
 俺は彼女に報いたい!! だから、俺の、俺自身の願いはッ……!

 ――守りぬけ!!――

 「どんな手を使っても守ってみせる……俺の、ミドリの誇りにかけて!!」

 ミズキの記憶との対話は一瞬だったが、一気に視界が開けたような感覚と共に、ミドリは絶望的な現実へと帰還した。目の前でイワンとストレアが荒い息をしている。シノンの場所まで辿り着くまでにこのようなトラップはいくつかクリアしないといけないことは確かだろう。このままでは間に合わないことは明白だった。
 ミドリは上階を見上げた。落とし穴のトラップで空いた穴は未だ開かれたままで、もし仮にそこまで到達できれば上階へ登ることはできそうだった。しかし相当な高さがあり、ただジャンプするだけではたどり着くことはできそうにない。
「イワン! 刀を鞘ごと頭上に掲げてくれ! 足台にする!」
 ミドリが天井の穴を指さして叫ぶと、イワンは瞬時にその意図を理解した。明らかに不可能に見えたが、それでも試してみる価値はあると判断し、彼は自分の頭上に足場を作り、膝を軽く曲げて跳躍の準備をした。ミドリはイワンの刀の次に足場にするべき場所をしっかりと確認した後、助走をつけて一気に飛び乗り、イワンの筋力を借りて高々と舞い上がる!
 敏捷力に優れるミドリは筋力に優れるイワンの力を借りてゆうに八メートル以上飛翔し、壁の燭台に足をかけることに成功した。そのまま燭台を蹴り飛ばし、再び飛翔する。燭台が砕け散りあたりに破片が飛び散るが、その燭台はぎりぎり足場としての役割を果たした。
 天井の穴付近ぎりぎりまで到達したミドリだが、やはり手がとどくところまではたどりつかなかった。しかしここで諦めるわけにはいかない。ミドリは自分の盾を振りかざすと、それを下に向かってぶん投げた! 投擲スキルが発動し、盾は凄まじい速度ですっ飛んでゆく。それと引き換えにミドリの身体はわずかな運動量を獲得した。まるで二重ジャンプをするかのように、ミドリの身体は空中でバウンドし――

 上階へ降り立った。まさに間一髪、シノンのHPはレッドゾーンに食い込むところで、まともにダンジョンを駆け上がっていたら間に合わなかっただろう。フウカが独自判断でミドリから離れシノンと共に戦っているが、デバフ特化の彼女の力はデバフ耐性に優れるボス相手にはなかなか通用しない。援護に駆け寄ろうとすると、下階から盾が吹き飛んできて地面に転がった。イワンたちが投げあげてくれたのだ。急いで装備してシノンと鳥型のボスモンスターの間に割り込む。
「わりぃ、遅くなった! 無事だな!?」
「なんとかね! 回復する間、ちょ
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