■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆自己の非同一性
第五十六話 絶体絶命の時、重なる二人の想い
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!?」
「ダメ! 結晶無効化エリア!」
「絶体絶命……ってか! くそ、すぐに援護に行く、それまで持ちこたえろ!」
ミドリは叫んだが、シノンの返事は返ってこない。今度はシノンではなくストレアが叫び声を上げた。
「ミドリ! こっちもトラップだよ!」
あわてて視線を下げると、すでにミドリたちのいる部屋は大量のスライム系モンスターで埋め尽くされていた。ミドリたちは三人いるので問題ないが、上階に一人でいるシノンはかなり危険だろう。急いで助けに行かなくてはならないが、これだけ敵がいると助けに行くまでシノンが持ちこたえられるかどうか――!
「私の、とっておきをッ、くらえーッ!」
ストレアが大剣を振り回すと、周囲のスライムがまとめて吹き飛ばされた。幸い弱いモンスターだったようで、吹き飛ばされた敵はそのまま空中で四散していく。強攻撃を放ち硬直するストレアを援護するべく、ミドリはあわてて盾を構えてストレアの背に回り込んだ。スライムの強攻撃の衝撃が盾越しに伝わってくる。イワンも防戦一方になりそうなところを無理やり攻撃に手を回しているため、結構被弾してしまっているようだ。イワンとストレアのおかげでだいぶ数を減らせたが、それでもこのままでは手遅れになるかもしれない。そう判断したミドリも盾から剣を抜き、シルドバッシュとおり混ぜて剣での追撃を挟んでゆく。しかしミドリの剣は剣先が重いせいで振り回す速度ばかりが速く、短剣に毛が生えた程度の長さしかない小剣のくせに小回りが効かないため、まともなダメージを与えられない。どうにも攻撃が遅くなる。ミズキから引き継いだこの剣は明らかに攻撃に向いていなかった。
ようやく一掃し、早く階段に向かおうとした時、ミドリは大変なことに気がついた。上階から、金属がぶつかり合う音が聞こえる。シノンが短剣でボスモンスターと交戦しているのだ。
――このままでは間に合わない。シノンが死んでしまう……!
そう思った、瞬間だった。ミドリの身体の底から強い想いがほとばしり出た。
――この盾は、何を犠牲にしても仲間を守りぬく証――
――もう、誰も失わせない!!――
その願いはかつてのその身体の持ち主……ミズキの想いに違いなかった。あまりに強いその想いに打たれ、ミドリは身体を一瞬硬直させた。
想いは、止まらない。
――考えろ!――
――自分の命を賭して、仲間を守る方法を!!――
しかし、これは俺の意思なのか? この想いに従って行動したとき、俺がこの身体を動かしていると本当に言えるのか?
俺は何のために戦う? 俺は今まで、何のために戦ってきたんだ……?
俺の、ミドリ自身の願いは……?
――俺が戦う理由は、仲間を守ること――
――仲間を守るため、俺は最期までこの生命を燃やし尽くすッ!!――
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