■■インフィニティ・モーメント編 主人公:ミドリ■■
壊れた世界◆自己の非同一性
第五十六話 絶体絶命の時、重なる二人の想い
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、アミュレットに向けて構えを取った。狙いをつけて一吹きするも、飛び出した針は見えない壁のようなものにあたって跳ね返ってしまう。ミドリの肩でおとなしくしていたフウカが突然バサッと翼を開きアミュレットに向かって飛びかかったが、こちらも見えない壁にぶつかって墜落してしまった。ミドリが慌てて抱き上げると、フウカは申し訳無さそうに顔をすり寄せた。
「やはり駄目ですね。当然ですが『射撃スキル』でないと撃ち落とせない設定のようです。しかしあちらの高台に登って射撃するとなると、部屋の端から反対側の端まで狙い撃ちしないといけませんね。ずいぶん距離がありますが……」
「これくらいなら余裕よ」
シノンは余裕というが、素人目にはかなり難しく見える。本当にできるのだろうかと皆は半信半疑に高台の近くへ集まった。薄暗いダンジョンの中、高台の急な階段は少々頼りない。
「またえらいこと狭い階段だな……。シノン、暗いから足元気をつけろよ」
「大丈夫。あー、イワン、スカートだから見上げないでよ」
「了解です」
「っておい、俺はいいのかよ」
「んー、そもそもあんた男だっけ。ユイちゃんが女の子なんだからあんたも女なんじゃないの、ミドリって女性名でしょ」
そもそもAIであるミドリに性別は存在しないのだが、シノンの発言に事情を知らないイワンはぎょっとしてミドリから一歩後ずさり、ストレアは逆に一歩歩み寄った。
「ミドリさん、女の人だったんですか……?」
「わーお、驚きの新事実だね!」
「うわー、こんななんでもないところで爆弾発言しないでくれ頼む! ああもう、今日帰ったらちゃんとミズキとの関係も含めて秘密にしてたこと全部話すから、とりあえず誤解しないでくれ! あとストレア! 男装してたとかそういうオチじゃないからベタベタ触らないでいやーー!!」
高台の下の方でわいわいやっているミドリたちをさておいて、爆弾発言を投下した本人は弓に矢をつがえて引き絞った。ミドリたちもさすがに緊張して静かになる。二呼吸おいて放たれた矢は、アミュレットを見事に射きっていた。
「すごい、すごいですシノンさん! あの距離を一発で――うわあぁあッ!?」
イワンが歓声を上げかけたが、それは途中で悲鳴に変わった。床が抜けて、ミドリもミズキもストレアもみんな一緒に下階へと落下したのだ。
「いべぶっ」
いきなりのことにまともに受け身が取れず、カエルの潰れたような声と共に墜落したミドリが慌てて起き上がると、上階から明らかに緊急事態だと分かるシノンの悲鳴が聞こえてきた。
「シノンどうした! 無事か!」
「祭壇が……祭壇が崩れて、中からモンスターが! ボスモンスター!」
ボスモンスターと聞いてミドリたちの顔から一気に血の気が引いた。
「随分手の込んだトラップですね……! 転移結晶はどうです
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