第一章
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第一章
江戸女人恋道
花のお江戸は今日も日本晴れであった。しかしである。
今日も今日とて喧嘩の声が絶えない。まさに火事と喧嘩は江戸の華である。
しかしどうもこの喧嘩は勝手が違っていた。女の声も混ざっているのだ。
「そうだよ、悪いのかよ」
「手前がぶつかって来てその言い草は何だ!?」
「ふざけてんじゃねえぞ」
髷をわざと傾かせてガニ股になっている如何にもガラの悪い連中が相手につっかかっていた。
「それでその言い草だとな」
「痛い目見るぜ、おい」
「痛い目だって!?」
相手は女の声だった。しかもかなり若い。まだ娘と言っていい年頃の声である。
「あたしにそれをしようっていうのかい」
「ああ、そうだよ」
「そうかい、よくわかったよ」
見れば髪を短く切って後ろで束ね髷の様にして赤と白の上着に藤色の袴を着ている。女とはとても思えない様な格好をしている。背は小柄である。
ところが顔立ちは凛々しさもあることにはあるが整っていて目も眉も奇麗なものである。唇は紅で頬は白い。そんな女が今ごろつき達と対していた。
その娘がだ。ごろつき達に対して言うのであった。
「じゃあかかって来るんだね」
「おい、この女」
「俺達とやろうってのか?」
「まさか」
「そのまさかだよ」
また女の方から言ってきた。
「喧嘩でも何でも来な。相手してやるからよ」
「面白い、それだったらな」
「今ここでぎったんぎったんにしてやるぜ」
「もう謝っても許さねえからな」
こう言って挑みかかる。しかしであった。
まず最初の一人がそのみぞおちに拳を受ける。男はそれでうずくまってしまった。
「うぐっ・・・・・・」
そして二人目は足払いを受けた。女があっという間に前に出て払ったのだ。その男はそれを受けてあえなくこけてしまったのだった。
三人目は背負い投げを決められた。まさに瞬く間にである。三人の男達はあっという間に女一人にのされてしまったのである。
「おいおい、あっという間か?」
「大の男三人が女一人にかよ」
「情ねえな」
まずはそのごろつき達が見物客達に馬鹿にされた。喧騒を聞いてそれで集まって来た野次馬達である。こうした連中は何時の時代でもある。
そしてその彼等はだ。今度は娘を見て言うのだった。
「しかしあの娘な」
「ああ」
「かなりやるんじゃねえか?」
「なあ」
こう話す。次はその強さを話すのだった。
「動きもいいし強いしな」
「とてもな」
「洒落にならないな」
「あっ、そういえばあの娘」
ここで見物客達のうちの一人が気付いた。
「確か」
「あれっ、あんたあの娘知ってるのかい?」
「ひょっとして」
「梅井家の末娘だぜ」
その客がこう周
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