第1章 群像のフーガ 2022/11
7話 露見する真意
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ともいえる。
四秒にも満たないような僅かな猶予ではあるが、多少《荒業》を使えば重装備の壁役よりは早く辿り着けるだろう。それに、このような惨劇に遭いながら不謹慎ではあるが、《曲刀》カテゴリーの武器でなかったのは救いだった。俺の経験上、刀という武器は振りの速さと、その鋭さからくる攻撃力の高さが高水準にあるものの、無駄を排して砥ぎあげたために曲刀よりも《軽い》のだ。あくまでも雑魚モンスターでの経験だが、ソードスキル同士の一瞬の衝突に於いて、片手剣ならば競り勝てる。なんといっても、そういった刀の使い手であるモンスターとの苦闘の一幕で《剣技克破》は生まれたのだから。
ともあれ、ボスモンスター相手にどう働くかは未知数だが、少なくともソードスキル発動を妨害する程度はできるはずだ。手負いのC隊は他の前線部隊に掩護させつつポーションで回復させれば十分に立て直せる。業腹ではあるが、あの騎士様には生きてこのレイドを導いて貰わねばならない。《イルファング・ザ・コボルドロード》の刀がスローモーションに動く姿を見つつ、脳内で不慣れな作戦構築を行い、左手を地面に付き、手前に引かれた剣の先端を前方に向け、曲げた両足に力を込める。片手剣突進技《イグナイトスタブ》。この技の売りである高速の突進と割り込みによるスキル妨害。これで――――
「………なに?」
思わず歯噛みして、スキルの射線上に飛び降りてきたモンスターを睨む。
コボルド王の取り巻きが、主の危機に馳せ参じてきたのである。確かに、HPゲージが四本目に到達した際にはコボルドは一切湧かなかった。攻略本でも確認できなかったから、湧出のタイミングのずれもそうなのだろうが、出現した取り巻きコボルドも変化していた。センチネルと共通しているのは兜だけで、肩当や胸当や膝当といった申し訳程度の防具しか付けていなかった。さらに長柄斧の代わりに片手剣を構えている。見たこともないモンスターで、恐らくこのボス戦時のみ出現する取り巻きの亜種だろうか。名前は《ルインコボルド・グラディエイター》………剣闘士ということか。ここへ来て初見のモンスターが出現するとは、想定外にも程がある。
だが、動揺して行動が滞ればディアベルが死ぬ。防御力は弱そうなので、作戦を変更して《イグナイトスタブ》でこいつを仕留め、余剰の推進力を以て距離を詰める。そして続けて《ソニックリープ》で飛び込めば十分に割り込める。とにかく、障害は払いのけるまでだ。
「リン、ダメだ!」
スキルアシストによって地面を蹴り飛ばし、新手の取り巻きの鳩尾を目掛けて剣先を構える頃に、ようやくキリトの叫び声が届く。同時にグラディエイターも手に握る片手剣をこちらに向け、獣じみた予備動作を取り、薄橙のライトエ
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