第1章 群像のフーガ 2022/11
7話 露見する真意
[2/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
こそ、せっかく前線に出られるチャンスを得ながら未だに燻っているキバオウの怒りを理不尽にぶつけられているようにも思えるが、恐らくは違う。もっと根本的な部分で齟齬が生じているのだろう。
なんとも得心のいかない会話を端から聞いている所為で、釈然としない感情と無性に込み上げるストレスで不快指数を上昇させるなか、キバオウは核心を口にした。
「わいは知っとんのや。ちゃーんと聞かされとんのやで……あんたが昔、汚い立ち回りでボスのLAを取りまくっとったことをな!」
「な………………」
「………なに?」
思わず、キバオウを睨む。キリトがベータテスターであるということは今更驚くような話ではないものの、その情報は話から察するに伝聞によるものだ。つまり、キバオウはベータテスターではなく、誰かがキバオウにキリトのベータテスト時代の立ち回りや、俺が隠しダンジョンについて知っているという情報を何者かによって聞かされたことになる。しかし、そうするとキバオウはベータテスターとコネクションを持つことになる。このボス攻略部隊に紛れ込んだβテスターを割り出すために、わざわざ当人が嫌う人種と接触するだろうか。ただでさえ、ベータテスターは自身がそれであることを隠している傾向が強いというのに、それでも探し出して聞き出すだろうか。
「お前、誰からそれを聞いた?」
「ジブンの事も聞いとるで。隠しダンジョンやら隠しクエストの情報を独占しとるってな。………他は知らんぷりで情報溜め込んでのうのうとしとるヤツに、何でわいだけが情報くれてやらないかんのや」
「…………キバオウ。あんたにその話をした奴は、どうやってベータテスト時代の情報を入手したんだ?」
俺とキバオウが睨み合うなか、その膠着を打ち破るようにキリトが問いかける。一度拒絶された時点で答えなどまともに返されないものと思っていたが、意外にもキバオウは口を割って見せた。
「決まっとるやろ。えろう大金積んで、《鼠》からベータ時代のネタを買ったっちゅうとったわ。攻略部隊に紛れ込むハイエナを割り出すためにな」
「最後に一つだけ聞く。そいつはベータテスターじゃないのか?」
「………あの人を、お前等みたいなクズと一緒にすんな」
キリトとキバオウの対話は終わり、ようやく前線に召集の掛かった控え部隊がボスに向かって駆けてゆくのを睨み付けながら、キバオウの話の信憑性を考察していた。
答えは嘘。第一、アルゴはベータテスターの情報を売ら
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ