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その魂に祝福を
魔石の時代
第五章
そして、いくつかの世界の終わり5
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げる。
「でも、何でそんなものを母さんに?」
 リンディがため息と共に頷くのを見届けてから、フェイトの疑問に答える。
「魔物には呪部と呼ばれる部位が何ヶ所か存在する。魔力が収束する場所で……お前たちで言うところのリンカーコアに近似する部位だ。そこを破壊すると、飛び散った肉片と魔力が結晶化する事がある。いわばその魔物の象徴――いや、魔物化した人間の心の拠り所だったものとでも言えばいいか。それがこれだ」
「じゃあ、やっぱりこれは……」
 フェイトも薄々と分かっていたのだろう。改めてその供物を見ながら呟いた。
「アリシア・テスタロッサの髪飾りと、おそらくは……」
 かつてプレシアには使い魔がいたらしい。使い魔はフェイトに魔導師としての教育を施し――そして、役目を果たして消滅したというその使い魔は、元々アリシアが飼っていた猫だったそうだ。まぁ、つまり――
「まさかリニスのデバイス、かい?」
 アルフが驚いたように言った。使い捨てた――彼女はそう言っていた。実際のところそうだったのかもしれない。だが、
「どこにもないと思ってたら、アンタが持ち歩いてたんだ……」
 後悔は――あるいはそれによく似た感情はあったのだろう。だから、その女性が消え去った後もその形見は手放さなかった。そう考えるのは、別に間違っていないはずだ。
「……あの子が可愛がっていた猫だもの」
 うつむき、囁くようにプレシアが言った。
「本当に私が受け取っていいの?」
「お前以外に誰が持つんだ?」
 それでもプレシアは躊躇ったらしい。当然か。だが、
「それはアンタが受け取るべきだ」
 言ったのはアルフだった。
「それを二人が生きた証だと思うなら。あの子の母親で、リニスのマスターだったアンタが持つべきだろ」
 それだけ言うと、アルフはそっぽを向いた。その言葉に、フェイトも頷いた。
「ええ――そうね。その通りだわ。ありがとう」
 プレシアもまた二人に頷き返し、それを受け取る。彼女の右手が触れた瞬間、その供物はほんの僅かに魔力を放った。あるべき場所に戻った事を告げるように。
「さて。それじゃ、そろそろ行きましょうか?」
 その輝きが収まる頃、リンディが言った。
「ああ。それじゃあ、フェイト、アルフ、プレシア。またな」
『早く帰ってこいよ』
「皆さん、お気をつけて」
 再会の約束を交わす――なんて、別に大げさな事ではない。彼女達がここに帰ってくる事を望む限りは。
「いってらっしゃい。フェイトちゃん、アルフさん、プレシアさん。帰ってくるの、待ってるからね」
 いってらっしゃい――告げるべきはただそれだけなのだから。
「うん。なのは、光、リブロム、ユーノ。行ってきます」
「ああ。すぐに帰ってくるよ」
「ええ。四人とも、本当にありがとう」
 そして、五人
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