第十四章 水都市の聖女
第四話 理想の王
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開くことはなかった。
その様子を、セイバーは何も語らずただじっと見つめていた。
「あ、あの……」
「え? どうかしたティファ?」
「い、いえ、その……もうそろそろお昼なので、教皇さまのお祈りも終わる頃じゃないかな……と」
「「「―――あ」」」
ティファニアの言葉に、互いに顔を見合わせたルイズたちは一斉に声を上げた。
「はあ面倒ね。じゃ、わたしとティファはちょっと行ってくるわ」
「大変ね巫女様は」
キュルケが巫女服姿のティファニアとルイズを見てニヤリとした笑みを浮かべると、ルイズはそれに鼻を鳴らして応える。
「……お腹減った」
「ちょっとタバサそんなとこに座らない。っと、そう言えばあたしたちのお昼はどうなってるの?」
「確か、この隣の部屋に用意すると聞いていますが」
「みたいよ。ほら、タバサ行きましょ」
お腹が減りすぎたのか、床の上に座り込んでしまったタバサを引きずりながらキュルケが部屋を出て行き。その後をルイズがティファニアを連れて部屋を後にする。
残ったのは二人。
アンリエッタ―――そしてセイバーの二人だ。
ルイズたちが部屋を出ていくのを確認すると、セイバーはアンリエッタに顔を向け小さく頭を下げた。
「それでは、私も―――」
顔を上げたセイバーが部屋を辞そうとアンリエッタに背中を向け、
「―――待ってください」
呼び止められた。
「何か?」
「……少し、お話したい事が……」
「話、ですか?」
「……話、というよりも……その、相談と言いましょうか」
「相談、ですか? 私に?」
肩ごしに振り返っていたセイバーが、言いよどむアンリエッタの様子を見て身体ごと振り返る。
「何を聞きたいのですか?」
「……それは」
「…………」
セイバーはじっとアンリエッタの言葉を待つ。ゆらゆらとアンリエッタの視線が迷うように揺れ……ピタリと止まる。
「―――わたくしは……王失格なのでしょうか」
「……王、失格ですか?」
予想外の言葉だったのか、セイバーが一瞬キョトンとした表情を見せる。
アンリエッタは怯えるように顔を背けているためかセイバーの様子に気付かず、弱々しい声を上げた。
「はい……先程『どうするのか』と聞かれた時、わたくしは一瞬何を聞かれたのか全く分からなかったのです」
「分からなかった? 何が、ですか?」
「……何故、そんな事を聞かれるのかが、です」
ゆっくりとセイバーに向き直ると、アンリエッタはくっ、と一瞬口を噛み締める。
「本当に分からなかったのです……あの時、わたくしはシロウさんの事ばかり考えて……自分が一国の王だと言う事さえ忘れていました。自分の行動が一体どれだけ周囲に影響を与
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