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剣の丘に花は咲く 
第十四章 水都市の聖女
第四話 理想の王
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リエッタは眉間に皺を寄せ苦々しい顔つきとなる。

「どうもわたくしには、あの教皇が戦争を望んでいるようにしか思えません。“聖地”奪還のため、虚無の使い手の力が必要だと言っておきながら、ガリアとの戦争を回避する様子が見られないのです。何故? 虚無の使い手は貴重な筈です。世界に四人しかいないと自分で口にしていたのに……。戦争となればそんな貴重な虚無の使い手が死ぬ可能性が高い。聖地奪還のために少しでも戦力が欲しい彼なら、そんな危険を冒したくないはずなのに……どうして?」
「世界に四人しかいないと言うこと自体が嘘という可能性は?」
「なくはないとは思いますが……可能性は低いかと」
「根拠は?」
「根拠としては薄いものですが、ハルケギニアにある最も古い歴史を持つ四つの国家から三人もの虚無の使い手が出ていますので……後は……」

 言いにくそうな顔で口元をもごもごさせるアンリエッタに、セイバーが怪訝そうな顔つきで問い掛ける。

「後は……何ですか?」
「その、何と言うか……女の勘、でしょうか?」
「―――それは……外れにくそうですね」

 セイバーが浮かべた苦笑に、アンリエッタも困ったような顔を向けて頷いた。

「ですが、本当にそう思うのです……」
「しかし、虚無の使い手が四人しかいないとなると、ますます疑問に思いますね。そんな貴重な使い手がいなくなる可能性があると知りながら、何故戦争を回避しようとしないのか……」
「……残念ながら答えを出すには情報が足りなさすぎます。答えを得ることは現時点では不可能でしょう。なら、今考えることは今後の行動についてです。つまり、戦争が起きた際、どうするのか?」

 ぐるりと周囲を見渡すアンリエッタ。視界の端ではキュルケとルイズが互いの襟首をつかみ合ってにらみ合っていた。そんな二人からそっと視線を外したアンリエッタにタバサが声を向けた。

「戦争は決定事項?」
「八割は」
「それも勘?」
「八割は」
「そう……的中率は?」
「……多分、八割です」

 顔を背けながら答えたアンリエッタにこくりと小さく頷いてみせたタバサは、チラリとセイバーに視線を向ける。

「あなたは?」
「来るでしょう」
「女の勘?」
「い―――」

 感情の見えないタバサの顔の中に、ほんの微かに期待のようなものを感じたセイバーは、何処か困ったような苦笑いを浮かべる横に振ろうとした顔を小さく縦に動かした。

「―――え、ええ」
「……そう」

 アンリエッタの時と同じくこくりと頭を上下に動かすが、何処となく満足気な雰囲気を醸し出しながらタバサは続けて問いた。

「的中率は?」
「え? あ、そ、そうですね。こういった事では外れた事はありません……残念ながら」
「そう」

 タバサは
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