Interview5 大遅刻ファースト・コンタクト
「退屈しないでしょう?」
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女と同年代の集団、それに施設の説明をしている職員らしき白衣の男だった。
ここで断ると、エルはまたルルとふたりきりに戻って、ルドガーの下へ帰れなくなるかもしれない。
それは、困る。
ルドガーはイリスに繋がる人で、イリスはカナンの地に繋がる人だ。
カナンの地がどこにあるか知るためには、ルドガーのところへ帰らなくてはならない。
「そこまで言うんなら、イッショに行ってあげてもいいよ」
「はい、一緒に行きましょう……ええっと。わたし、エリーゼっていいます。あなたは?」
「エル。エル・メル・マータ。この子はルル」
「ナァ〜」
「エルにルルですね。仲良くしてください」
エリーゼは大人びた顔でエルに笑いかけた。エルはつい彼女の笑顔に見惚れたが、それが恥ずかしいことに思えて、エリーゼより先に一団と同じ方向へ歩き出した。そんなエルに、エリーゼが苦笑していたとも知らずに。
「はいはーい。ちょっと天気が悪くなってきたみたいだから巻いて行くよ〜。質問があったらスピーディに言ってちょーだい」
『『『はーい』』』
行儀よく返事をするのは、エリーゼと同年代の少年少女。しかし、エルからすれば年上の集団である。ぴったりと混ざるのには抵抗があった。
最後尾についたエリーゼの、さらに後ろから、エルは付いて行った。
小さな雷鳴が、生じた。
「ひぅっ」
エルは思わず先を行くエリーゼの背中にしがみついていた。
「雷、こわいんですか?」
「ぁ、あ、ぅ」
エリーゼが言葉を続ける前に、先より大きな雷鳴が轟いた。
巨大な光のフラッシュは、エルの心の中にもフラッシュのようにいくつもの光景を瞬かせた。
――トリグラフ中央駅10時発の列車――カナンの地――約束―― 一緒に来るか――ホントの約束は目を見て――いっしょにカナンの地に行きますっ――××を壊す仕事なんてあるわけ――わたしが必ず××××××を連れて――お願い、エルを――思い出なんてまた作れば――約束より大事なものがある――俺は××××にエルを助けてくれるよう――
エルは両手で頭を抱えて蹲った。
「あああああああああああああっっ!!!!」
「エル!? しっかりしてください! エル!!」
「ナァ〜!」
3度目の雷鳴の直前、二人の少女が消えたことに案内役のバランが気づくのは、このすぐ後の話。
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