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三好夏凜は勇者である
休息
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[1] 最後
「すみませーん!おかわりくださーい!」
「あ、私もお願いしまーす!」
「友奈さんはまだ2杯目だからいいけど、お姉ちゃん、食べ過ぎだから……」
「風先輩、何かいいことでもあったんですか?」
「ふっふっふ……知りたい?」
「風のことなんだから、どうせまたくだらないことでしょ……」
行きつけのうどん屋さんでの何気ないやりとり。
この日は風が5杯もうどんを食べてる。いつもは4杯でやめるのに(それでも多いけど)。
「言ったなー??……ふーん、いいもーん。そう思うなら夏凜にだけ言わないでおこうかなー?」
「な、何よそれ??教えなさいよ!」
二ヶ月前、私たち勇者部の戦いは幕を閉じた。無数のバーテックスを倒し、私たちは勇者を解任され、大赦も役目を終えた。
つまり、神樹様に捧げた私たちの身体の一部も無事、元に戻った。
あの戦いの後、勇者部は何か変わったかというと……そうでもない。勇者部五箇条の意味を前より真剣に受け止めてることくらい。

勇者部五箇条。
一、挨拶はきちんと
一、なるべく諦めない
一、よく寝て、よく食べる
一、悩んだら相談!
一、なせば大抵なんとかなる

「なるべく」諦めないとか、なせば大抵「なんとか」なるとか、ちょっと緩すぎる気もするけど……ま、勇者部らしいと言えば勇者部らしい。
「あ!夏凜ちゃん全然食べてないよ!私が食べてあげようかー?」
「誰が食べていいって言ったのよ!あ、ちょっ!勝手に食べるなー!」

全てのバーテックスを倒した私たちには、また勇者部の日常が戻ってくる。
そう思い続けていたかった。



× × ×



「……アラームが……!」
「私たちは勇者を解任された……なのに、どうして……!」
「お姉ちゃん……どういうこと……私の声は、また……」
「大丈夫。大丈夫だよ樹。樹もみんなも、私が守ってみせる。けど……
なんでバーテックスが……よりによって……」
「……風。何か知らないの?」
「……私にも分からない」
「……そう……」

平静を装っているフリをしても、しきれない。
「なんで……なんでまた、私たちが……」
震える声を絞り出して、問いかける。答えることができる者などいないのに。
前にもこんなことがあった。
戦いは終わったと言われ、安心した矢先にまた復活したバーテックス。
その時も私たちは、もう一度戦うことを選んだ。
二ヶ月前、私たちは勇者を解任された。もう私たちは勇者じゃない。

「……私は戦わない」
「夏凜??何言って……!」
「風は!!風はいいの??どんどんみんなの身体が壊れていって……止めることもできなくて……生き地獄よ??大赦から解任された今、満開したら身体が戻ってこないかもしれないのに……」
「……いいわけないでしょ?
[1] 最後


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