暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の舶ィ語
第九話。世界の歪み、人の認識?
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、その噂が子供達だけではなく学生や大人達に広がり、やがて周囲の人々からAさんは『あ、噂の口裂け女の人だ』と思われるようになった。彼らに悪意があろうとなかろうと。
______それが当たり前の事実として定着してしまうと、Aさんは『口裂け女のロア』になってしまい、一之江のように人間ではなく『ハーフロア』になってしまう。
なんというか恐ろしい話だ。

「人の噂が、人間を『ロア』に変える……のか?」

「この世界は大いに『歪んだ認識』によって存在しています。人の心は常に不安定である以上、その歪みが正される事はありません。
……そういった歪みが世界をより不安定にし、『世界からの認識のズレ』を発生させるのです」

『世界からの認識のズレ』、それが都市伝説や噂として語られると発生するのが……ロアでその噂の対象が人間に向かった場合に発生するのが……。

「つまり、……この『世界』がAさんや一之江を、『そういう都市伝説的な存在である』って認識してしまった存在が……」

「はい。我々は人間でも『ロア』でもない、『ハーフロア』という存在になりました」

きっぱりと語る一之江の表情は読めない。Aさんという人物は架空だとしても一之江という『歪んだ世界から発生した存在』は実際にここにいるんだ。
いや、もしかしたらそのモデルとなった『口裂け女』はいるのかもしれない。
……なんというか、おっかないけど可哀想な話だよな。

「『ロア』の持つ独自のルールがあるため、ある意味私達は人間として、おいそれと死ぬ事はありません。
ですが『噂』が消滅すると自分も消滅してしまうので、定期的になんらかの事件を起こす必要があります。そうやって、恐怖対象であったり、風刺対象であるように、人間達に認識して貰わなければならないのです」

「……事件を起こさないと、どうなるんだ?」

「人々の記憶や文献から消えた瞬間、消滅します」

消滅。
定期的に噂させるような事件を起こさないと消えてしまう存在。

(それが彼女(一之江)達のような『ロア』が事件を起こす理由だと??
なんの冗談だ?)

そう思ったがそれより気になるのが……。

「俺も、それになりかけているんだな?」

「ええ。特に『主人公』などの位置に立つ人物はより多くの制約に縛られるはずです。
例えば……昨日、私が学校にいる、と言った時にあっさり振り向いてしまっていた場合」

学校を出た時に、一之江からの電話で振り向きそうになったあの時を思い出す。

(キリカやアランのアドバイスを思い出したあの時か……今思えばかなり危なかったな)

そんな事を思いながら一之江の話に頷く。

「今回の百物語の主人公は、最初の一話目にして可憐なロアに敗れたのでした。めでたしめでたし。チャンチ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ