Interview4 1000年待った語り部 U
「どっちを信じるかは明白だよね」
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
公正なゲームがしたいなら、チェスか将棋。
公平なゲームがしたいなら、ポーカーかブラックジャック。
どこが違うんだ、と首を傾げる読者諸賢が目に浮かぶようである。しかしここはしばし著者の持論展開に目を傾けて頂きたい。
ゲームのルールとは完璧であればあるほど、プレイヤーの彼我の差を浮き彫りにする。一対一ならば尚のこと、プレイヤーの性能がそのまま勝敗となると言っても過言ではない。
公正とはいわば完璧に調整された天秤。受け皿に重さの違う分銅を載せれば、より重い皿が傾く。物理学の基本法則だ。
驚くことに、『オリジンの審判』にもその法則は当てはまるのだ。
筆者はクランスピア社の専門セクション協力の下、過去の『オリジンの審判』の資料を第一審から現在まで読み返してみた。結果は読者諸賢もご存じの通り、負け越し。
精霊側の数々の行いにより、『オリジンの審判』が公平なゲームでなかったのは周知の事実である。
では、せめて公正なゲームであったかといえば、全くそのようなことはない。
人類と精霊では、性能に天と地ほどの開きがある。人類は精霊に勝てるだけの性能を備えていない。最初から人類は精霊に劣るように生まれてしまっている。
仮に番人クロノスが骸殻の罠、分史世界の罠を張らずとも、精霊の主マクスウェルが断界殻を造らなかろうと、人類は敗北していた。
プレイヤーが「人」と「精霊」であった時点で、人類の――我々の破滅は確定していたのだ。
L・R・クルスニクテラー
多分に不快な気分で覚醒したルドガーが一番に聞いたのは、ニュースキャスターの声だった。
《……り返します。完成したばかりの自然工場アスコルドに、暴走した列車が脱線衝突し、大破しました。被害者規模と死傷者の数は掴めていませんが、当局はリーゼ・マクシアとの……》
上半身を起こす。正面の壁一面に所狭しと並んだ酒瓶。カウンター席。うす暗い室内の対角線上にはグラスを磨くバーテンダー。どうやら自分はどこかのバーにいるらしい。
ふとテーブル越しのソファーにエルが寝かされているのを見つける。テーブルの上にちょうどルルがいて、エルを見守っている。列車での「エルのことは責任持て」発言はルルの中で未だ有効らしい。
ルルよりもっと手前にはあの真鍮の時計。エルの物か、ユリウスの物か。状況的には後者だと踏んで、ルドガーは起きて立ち、真鍮時計をそっと取ってポケットに入れた。
「列車テロだって。物騒だねえ」
ふいにル
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ