Interview4 1000年待った語り部 U
「どっちを信じるかは明白だよね」
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ドガーたちのボックス席の前、カウンターに座っていた赤いスーツの男が声を上げた。内心跳ね上がりたいくらい驚いた。
「あ、あんたは……?」
「君たちの命の恩人。それだけ覚えててくれればO・K」
赤スーツの男は椅子を回してルドガーをふり返った。同じ赤を着るのでも、ついさっき会ったビズリーとこの男では天と地の開きがあるのだな、と頭の片隅で思った。
「で。起きて早速で悪いが、二人合わせて1500万ガルドだ」
「ぇえ!?」
素っ頓狂な声が出た。その拍子にエルが目を覚ました。
エルは起き上がって左右を見渡し、ルドガーがいると気づくや、寝ぼけ眼でソファーを這い下りてルドガーのズボンにしがみついた。
「ケガ、大丈夫か?」
「だいじょうぶ」
自分の体をチェックしたわけでもないのに、エルはやたらと確信的に答えた。
「あの、1500万って……」
「治療費だよ。君たちの命の値段」
高すぎる。ルドガーは反射的に思った。この男は明らかにこちらの足元を見てぼったくろうとしている。エル共々助かったのは素直に喜ばしいが、よりによって何故、こんなヤブ医者に――
「あんた――ひょっとして、クラン社医療エージェントのリドウ・ゼク・ルギエヴィート?」
「何だ、知ってんの。さすがのユリウスもそこまでは情報シャットアウトできなかったか」
リドウ・ゼク・ルギエヴィート。兄ユリウスと肩を並べるトップエージェントで、特に医学分野での活躍が目覚ましい。クランスピア社のエージェントを挙げろと言われれば兄と彼、と巷で言われているほどだ。
「エル、お金かせいだ時なんてない……」
しおれたエルを、リドウは虫でも見るような目つきでソファーに叩きつけた。幼い悲鳴が上がる。
「稼ぐ気さえあれば金を作る手段なんかいくらでもあるんだよ。子供だろうが何だろうが」
もう我慢できなかった。ルドガーは、エルを掴むリドウの腕に手を伸ばし――
「ごめーん、話し込んじゃっ……何してるの!?」
レイアだった。入るなり彼女は駆けてきた。
リドウはエルを引っ張り寄せてルドガーから離れた。実質、エルを人質に取られた状況だ。
「どうしたの?」
「いや、その……」
「治療費が高すぎるってクレームをつけられてね」
「いくら?」
「……1500万」
「高すぎます!」
レイアはリドウに詰め寄った。
「どういうことですか。いくらクラン社のトップエージェントだからって、こんな高額を請求できるなんて聞いたことありません。ドクターエージェントは他のエージェントと違って請求上限があるはずです」
「命を救ったんだ。妥当な値段だろう? それに俺のこれは、エージェントの仕事じゃなくて、俺個人の善意の営業」
「
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