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口裂け女
第一章
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てくれないと」
 藤熊先生はこのことを咎めた。
「頼むよ」
「はい。それでですけれど」
「また出て来るなんてな」
 先生はまた言った。
「あの時みたいに騒ぎにならないといいけれどね」
「何か物凄い騒ぎだったんですね」
「凄いなんてものじゃなかったよ」
 それどころではなかったというのである。
「もうね。日本中が口裂け女の話題で一杯でね」
「凄い状況だったんですね」
「どうしたものかな」
 彼等は言い合う。
「本当に」
「いるってわかったら退治していないのならいないってはっきりさせたらいいんじゃないでしょうか」
 悟志は少し軽く言うのだった。

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