Interview1 End meets Start T
「ちゃんと届いたから」
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ルドガーは走る。走る。
クロノスのレーザーの射線上から、イリスを抱きすくめて外れ、イリスともども地面をローリングした。
「ルドガー!? だめでしょう、出て来ちゃ! 今ここがどれだけ危険な場か分からないの!?」
「分かってるから出て来たんだよ!」
ルドガーは立ち上がり、精霊の列を睨みつけた。
「精霊ってのはずいぶん幼稚なんだな。女一人、寄ってたかって痛めつけて、恥ずかしくないのかよ」
改めて向き合えば、ますます異様だと思わざるをえない。
ヒト型のモノが空を飛んでいるだけでも異様なのに、それぞれがヒト科にはない特徴を備えている。
特に赤眼。眼球が流血しているようで気味が悪い。
『純粋なエレンピオス人のようですね』
「ならばコレもマナを吐く物体へと変えよう」
クロノスが掌の上に広げたのは、ボール型のプラネタリウムのような黒い球。プラネタリウムと異なるのは、その黒い波動がまぎれもなく毒だと分かる点だ。
「行け」
「うおおおおおおっっ!!」
ルドガーは戦った。模擬戦用のCS黒匣ガードと、剣術の稽古でのユリウス以外で、初めて剣を揮った。
だが、剣のたかが2本でどうにかなる存在ではなかったと、ルドガーは痛感させられることになる。
――凍らされたかと思えば炙られ、濡らされたかと思えば感電し。暴風によって上下に叩きつけられ。眩い光に目も開けなかった。
ルドガーが満身創痍になるまで数分かかったかどうか。
倒れる、と思った直後、後ろからルドガーを支えた腕と胸。
こんなことをするのは、この場ではイリス以外にありえない。
イリスはそのまま座り込み、ルドガーの頭を膝に載せる形に持って行った。初めて異性に膝枕されたのがこんな緊迫した状況など、冗談でも笑えない。
「いい子、本当に優しい子ね。会ったばかりのイリスのためにボロボロになって。そんなとこまであの方と一緒だなんて」
イリスはルドガーの髪を優しく梳いてから、そっとルドガーの体を膝から地面に横たえた。
「ありがとう。嬉しかったわ」
立ち上がったイリスは、単騎で精霊軍団へと歩いて行く。
(悔しい。何が強くなりたいだ。女一人守れてないじゃないか。動け、動けよ、俺の体! このままじゃイリスが嬲り殺しにされるんだぞ!!)
「――ルドガー」
はっとする。まるでルドガーの懊悩を読んだかのようなタイミングだった。
ふり返ったイリスはとても優しい表情をしていて。
「大丈夫よ。貴方の思いやりは、ちゃんと届いたから」
クロノスが精霊軍団に合図を出した。火、水、風、土、光、闇、氷、雷、あらゆる属性の攻撃がイリスの立つ位置へと放たれ、着弾した。
石畳が抉れ、露出した地面から
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