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バレンタインは一色じゃない
6部分:第六章
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味しかったよ」
「美味しかったの」
「塩とか入っていたらって思うと。それがなくて」
「美味しさも普通のにはしないわよ」
 それについても決して普通を目指しはしない麻紀子であった。
「私はね」
「それはいいかな」
「いいでしょ。じゃあホワイトデーにはね」
 話が一ヶ月先のことにまでいっていた。
「また楽しみにしておいてね」
「ちょっと待って」
 今の言葉にふと気付いた。それは。
「楽しみにって。ホワイトデーは」
「だから。今度はマシュマロよね」
「そうだけれど」
 話が噛み合わないのを感じていた。それは何故かというのもわかっていた。
「ホワイトデーって普通男がお返しするものだけれど」
「だから。普通じゃないのよ」
 ここでまた麻紀子は言うのだった。
「私が普通にするわけないじゃない。だから」
「またプレゼントしてくれるんだ、僕に」
「そういうことよ。それじゃあ」
 話が動く。一ヶ月先に向かって。
「その時も。楽しみにしておいてね」
「わかったよ。まあ何が起こるかは」
「その時になってわかるわ」
 とりあえず今はそのカラフルなチョコを楽しむだけであった。だが一ヶ月先に何が起こるかを考えると。どうにもこうにも不安になるがそれを何とか抑えてチョコレートを楽しむのであった。


バレンタインは一色じゃない   完



                2008・1・10

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