Interview1 End meets Start T
「母さんだったんだ」
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をゆらめかせて笑うイリス。
ふと彼女の何かに、ルドガーは既視感を抱いた。
(それもそう、か。会社に戻らないと、試験がどうなったかも分からないし……ユリウス、心配してるかも。それにイリスだ。何でクラン社の地下であんなやり方で捕まえられてたか、それを知るには、クラン社へ戻らないと)
立ち上がろうとして、足がもつれた。こんな時に、先ほどの落下のダメージが来たらしい。
ルドガーは片膝を突いた。
「大丈夫っ? どこか怪我をしたの?」
イリスがしゃがんでルドガーの顔を覗き込む。今までの妖艶さが嘘のように、本気の心配を浮かべている。
また、既視感。
「えっと、さっきちょっと高いとこから落ちたから」
「……イリスのせいね。ごめんなさい」
イリスは落下のことを、チューブを外した時だと思ったらしい。申し訳なさげに面を伏せる。
「イリスのせいじゃないよっ。俺がドジっただけだから。このくらい何てことない」
「――ルドガーがそう言うのなら。でも痛みが続くようなら我慢しては駄目よ」
その言い方が、どこかで聞いたものに感じられて。これで何度目か、ルドガーは胸を押さえた。
イリスが先に立ち上がり、歩き出した。その拍子にふわりと長い髪が慣性で浮いた。
とたん、ルドガーは既視感の正体を突き止めた。
「分かった」
「なに?」
「何か思い出すなーと思ったら、母さんだったんだ。俺の母さん、イリスと同じで銀髪のロングだったから」
「それはイリスと、というより、貴方と同じ、と言ったほうがいいんじゃなくて? 貴方のお母さんなんだから」
「いや、なんていうか、こう…動いた時のふわっとした感じとか、ふり向く時の髪の揺れ方とか、ほんとそっくりだ」
「ふふ。ルドガーのお母さんと同じなんて光栄だわ。褒め言葉として頂戴しておくわね」
そう言って笑ったイリスの顔に先までの妖しさはなく、ただ明るく無邪気だった。
これもだ。この、微笑ましいものを見守るような表情もまた、ルドガーの中に母の思い出を想起させた。
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