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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)
第9話:酒は飲んでも飲まれるな
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何だかよく解らないが異様な雰囲気である事は間違いない。

「あれは何をしてるんだ?」
人が集まりすぎて中心地点で何が行われてるのか解らない。
中隊長殿も楽しそうに酒を出してるから、問題行為をしてる訳ではないのだろう。
だが気になってしまう人集りだ。

「知らないんですか閣下。あの中心地にはリュリュさんが居るんですよ。あの連中が酒を振る舞って貰ってるんですよ。俺も先週はシコタマ奢りましたからね……この店が低価格じゃなければ、俺は今月生活できてないですよ(笑)」

「何だそれは!?」
予想の遙か上空を飛行する返答に、スピーアの胸座を掴んで聞き返す。
「で、ですから……リュリュさんに酒を奢る為に……あの連中は群がってるんです」

「おいおいおい……それは如何なる理由で酒を振る舞ってるんだ? 絶対に下心大有りだろう!」
「そ、そりゃそうですよ……男が女に酒を奢るのなんて、その先の展開を夢見ての事でしょう。実際、俺もそれが目的で酒を飲ませ続けましたからね。いや〜……でも酔い潰れないんですよ彼女。強い強い(笑)」

頭が痛くなってきた……
こいつ(スピーア)もあの連中も、それがどういう事なのか解ってないで酒を奢っている。
目の前の美女の美しさに脳が焼かれて、そんな事をしたらどうなるのか解ってない。

私は徐に立ち上がり、カウンター席の人集りまで近付くと、力任せに連中をかき分け、中心点で酒を一気飲みしてるリュリュの腕を掴んで引きずり出す。
「わ、わ、わ!? 何ですかピピン閣下!?」

空になったワインやウィスキーのボトルが5.6本目に入ったがリュリュは全く酔っておらず、何時もと同じ感じで話しかけてくる。
本当に強いんだな!

「大臣閣下。割り込みはズルいですよ……今日は俺達が「黙れ馬鹿者共!」
文句を言い出した若い兵士に、私は腹の底から放った大声で恫喝する。
喧噪に包まれていた店内は私の怒号で静まり返った。

「あの……何を怒ってるんですか?」
「兎も角リュリュ……こっちに来て座りなさい!」
元居た自分の席に彼女を座らせると、近くのテーブルから椅子を一つ手繰り寄せ、私もリュリュの隣に座る。

「あの連中が何故君に酒を飲ませてるのか解ってるのか?」
「えぇ……まぁ……自惚れかもしれませんけど、私が可愛いから……かな?」
その通りだ。この()は可愛い……妻を愛してる私でも、小首を傾げて伺う姿は心にトキメキを感じる。

「男はね、可愛いだけじゃ酒を奢らないんだよ。お菓子や小物をくれる事はあっても、酒を奢る時は別の感情も含まれてるんだよ」
私は優しくリュリュに言い聞かせながら、語尾は強くなりカウンター周辺の馬鹿共を睨み付ける。

「どういう事ですか、それは?」
リュリュは怪訝そうに
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