空白期 第20話 「ユーリとお出かけ その2」
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済む。
――はぁ……ある意味ふたりの性格が噛み合ってしまったことで起こった事故だよな。だから高町を責めるようなこともできないし、かといって挨拶をしたユーリが悪いわけでもない。とりあえず、触って調べよう。
「ちょっと動かないでくれよ」
「ショ……ショウさん?」
「うーん……たんこぶとかはできてないかな。あれだけ勢い良くぶつかったことを考えると大した石頭だね」
「そ、それは褒めてないです」
そう言いながらユーリはむすっとした顔で睨んできたが、はっきり言って全く怖くない。とはいえ、不機嫌なままで居られるのも困るので謝罪のつもりで頭を撫でると、彼女は気持ち良さそうに目を細めた。素直というか扱いやすいというか……。
「……君も大丈夫?」
「あ、うん……」
「…………もしかして、君も撫でてほしいの?」
「な……そ、そんなこと思ってないよ! ショウくんにも優しいところあるんだなぁとか、何だかお兄さんみたいだなぁって思っただけで!」
両手をブンブン左右に振りながら必死に否定していることから本音だろう。そもそもとっさに嘘を言える性格をしているとも思っていないが。
しかし、俺に『も』という言い方はどうなのだろうか。考え方によっては貶されているようにも思えるのだが……気にしないでおくのが得策か。そう完結させたとき、不意に何か考えているユーリが見えた。
「ユーリ、どうかした?」
「え、あの、その……シュテル達からこの方はナニョハさんって聞いてたんですけど」
なにょはさん?
確かそれってレヴィの言い間違いか高町のあだ名だったはずだけど……今シュテル達って言ったよな。つまり『なのは』だってきちんと理解しているあいつがわざと『なにょは』を使って刷り込んだ、と。
前にからかったときに反応が良かったからってこんな手の込んだことを……。
「どうかしたの?」
「ん? あぁいや……その、なんだ……」
「何で言い淀むの? 私には言いにくいこと?」
言えるといえば言えるけど、君の気持ちを考えると言いにくいというか……。
上手く発音できないとか誤魔化すことは可能だけど、そうするにはユーリとも打ち合わせが必要だよな。でも打ち合わせしてる時間なんてないだろうし……。
「あの、あなたはナニョハさんですか? それともナノハさんですか?」
……ユーリ、素直なのはいいことだけどもう少し考えてから発言することも大事だよ。高町、知り合ってからの経験でレヴィに『なにょは』って言われたことが1番反応してた気がするし。
「え……なのはだよ。な・の・は!」
「ご、ごめんなさい!」
突然の大声に驚いたのか、ユーリは謝りながら俺の後ろに隠れてしまった。怒らせてしまったと思っているのか、俺に不安そうな顔を向けて
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