頂点にいた者の執念
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なる」
現在でもフェザーンが帝国との関係改善に向けて足掻いているのは、そのあたりの長い関係があった。
戦火を交えてはいるが、帝国はフェザーン自治領の自治取り消しまでは宣言していないという一点で、まだ外交的糸が切れていないとド・ヴィリエ元大主教はヤンに教える。
同盟よりも帝国の方がフェザーンの外交の糸は太く長い。
ここの所を間違えると策もうまくいかないとヤンは心に刻む。
「表の組織だと、皇帝の代理人という形で自治領主が現地トップに立ち、その下に各局がぶら下がる。
われわれが何処から自治領主を操っていたかというと、この組織外のオブザーバーとして自治領主に絡んでいた。
フェザーン経済連合会だ」
「シスターズの娘達ですね」
考えてみれば当たり前のことで、地球統一政府を支えた金融・物流企業の連合体が地球教の母体であり、表の顔なのだ。
商人国家であるフェザーンにおいて、彼ら大企業の連絡会であるフェザーン経済連合会が国会の地位を担っていたのである。
行政と司法、表向きは立法も自治政府が押さえているのも、帝国に配慮してという所だろう。
帝国自治領である以上、権力の分立が議会政治ととられたらかなわないという訳だ。
「フェザーン経済連合会が自治領主に陳情し、自治領主がその政策を行政組織に伝える。
これに変化が出だしたのが、人形師が債務返済という形でフェザーンに譲渡した他星系の存在だ」
フェザーン一星ならともかく、他星系を支配する恒星間国家になってしまったフェザーンは同盟や帝国と同じように遠隔地の統治という難問を背負う事になった。
結果、フェザーン行政組織のとある会議が権限を肥大させた。
「自治領惑星間連絡会議。
自治政府惑星行政官の非公式連絡会議だが、惑星間利害調整を受け持つようになって急激に権限を拡大させるようになっていった。
われわれ地球教側にとっての最大の敵さ」
「敵?
同じフェザーンなのに?」
「光すら果てしない時をかける距離で、人が分かり合えると思うのかい?」
ヤンの質問にド・ヴィリエ元大主教は愉快そうに笑う。
その笑みに苦労を感じ取ったヤンは何処も同じと同じように笑うしかない。
「地球は帝国辺境にあり、当然総大主教はそこにいる。
という事は、地球教は帝国出身の派閥で上部は占められているんだ。
ところが、フェザーンは帝国の疲弊と同盟の繁栄によって、フェザーンや同盟出身者が幅を利かせている。
内部のドロドロは帝国や同盟に負けない自信があるよ」
「という事は、貴方が同盟に送り込まれたのは、フェザーン・同盟出身閥の監視ですか?」
段々見えてくる権力闘争にヤンは苦笑しつつも安堵する。
フェザーンを裏から支配しようが、
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