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ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 後編
春告ぐ蝶と嵐の行方 3
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。そんな和やかな雰囲気で、話は進む。

 ウォルニオンさんの話によれば、タカミさんはアルバイトで資金と料理スキルとをコツコツ貯め、最近遂に自分の店を開業したと言う。そしてそれを聞いたウォルニオンさんが、一世一代の賭けでタカミさんにプロポーズ。しかし、「店を買うときに借金をしたから」という理由であえなく断られてしまった。
 ならばその借金を自分が返してやろうと思い立ち、中層プレイヤーの中ではそれなりに腕に覚えのあったウォルニオンさんは、単身最前線へ向かったのだが……。

「ご存知の通り、結果は散々でした。借金を返すどころか、ポーション代に結晶代を考えると完全に赤字で……もう、ダメだなって、落ち込みながら彼女の店に向かいました。そしたら、ドアを開けた途端にタカミがすっ飛んで来て、泣きながら詰め寄られました」
「いきなり何も言わずにいなくなって、帰って来たと思ったらボロボロなんですもの。そりゃ、そうもなります」

 少し強く言われ、ウォルニオンさんは困ったように笑う。

「目に涙を溜めながら、「どうしたの、大丈夫なの」って聞いてくる彼女を見たら、それだけ愛されていることが嬉しいやら、情けないやらで……僕も泣きながら、その日したことを話して……」

 その言葉を、タカミさんが引き継ぐ。その目が、温かく細められた。

「――その後、私から言ったんです。「結婚してください」って。私には、この人がいないとダメなんだって、よく分かりましたから」

 幸せそうに笑うタカミさん。ウォルニオンさんが、恥ずかしそうに照れ笑いを滲ませた。

「そう……なんですか……」

 いい夫婦だな、って、素直に思う。

「それで……お二人はどうして、わたしがここにいるって分かったんですか?」

 ふと、それと同時に思い浮かんだ疑問を訊ねてみると、二人は一瞬目を見合わせ、笑いながら答えた。

「それが、昨日の夜、三本ヒゲのペイントをした情報屋さんがウチの店を訪ねてきて言ったんです。『《モノクロームの天使》ニ、礼を言いたいことがあるそうだナ』って。なんでも、素直になれない刀使いさんからの依頼だとか」
「……素直になれない、刀使い……?」

 一体誰のことなのだろう、というか、その情報屋、どこかで聞いたことのあるような……? とわたしが首を捻っていると、ウォルニオンさんは少し左手を宙に浮かせて逡巡し、その手を膝に置かれていたタカミさんの手に重ねた。

「あの時、僕が生きて帰れたことも、タカミと一緒になれたことも。全部、エミさんのおかげです。本当に、ありがとうございました」

 そしてまた、二人して頭を下げられる。わたしは慌てて立ち上がると、手を振りながらそんな二人を止めようとする。

「そ、そんな! わたしが勝手にしたことですし……
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