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日向の兎
1部
26話
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「ネジ、流石にそれは擁護できない」
「分かってる……あの日は一晩中正座させられて、ヒジリ様に日が昇るまで怨念の篭った眼で睨まれ続けたんだ。
……あれは俺の中でトラウマになっていて、それ以来どんな物でもおかわりをするという事が出来なくなったよ」
「ヒジリに一晩中…………ゴメン、想像しただけで無理ね」
テンテンはうんざりした表情を浮かべつつ酢豚を口に放り込み、再び私に視線を向けた。
「じゃあ、ヒジリがこれだけは駄目っていう物は無いの?」
これだけは駄目か……ふむ、あるにはあるのだが味がどうのではなく生理的に駄目という物だな。味より先に噛んだ段階で脳がギブアップしたので味なぞ分からなかったが、強いて上げるとするならばあれだろう。
「昆虫食は全般苦手だな……あればかりは生理的に無理だ」
あれがいけるのなら潜入任務などでも役に立つんだろうが、どうにもあの食感と外見が私には無理だ。イナゴの佃煮やらはなんとか大丈夫だったが……幼虫系統は全力で遠慮したい。
「それは私も無理……っていうか一体何処でそんな物食べたの?」
「昔、好奇心で買ったのだ。取り敢えず全種買って一通り食べてみたが……我ながらよくやったと思うよ」
「あーそれ以上はやめて。聞いてるだけで食欲失せるから」
「そもそも君が聞いたのだろうが」
そんな話をしながら食事を終えた私達は店を出て、苦無や手裏剣などの消耗品を買いに行くことにした。





「はぁ……今考えたらヒジリの作った忍具って異常に消耗品をすり減らすよね。あれ、どうにかならないの?」
テンテンはそう愚痴りながら、苦無と手裏剣の束を抱えている。ざっと苦無は百、手裏剣は八十か……確かに多いな。
「だが、命が金で買えると考えればその出費は安かろう?」
「そりゃ、初見殺しの多い武器が殆どだから多少格上でも勝てるけどさ。毎回毎回この消費は結構痛いの、懐問題的に。
それに仕込みの手間も割と面倒だし、いっそヒジリが店出してよ。そうすれば色々楽だし、纏めて仕入れが出来るからヒジリが売るにしても多少安くなるでしょ?」
武器商人か……存外悪い話でもないな。
世界を彷徨いて武器を売れば様々な技術と出会う機会もあり、それを新たに取り入れて商品を作り売る。この世界で武器商人は収入としては悪くはないだろうし、当分需要が尽きる事もないだろう。
「悪くないじゃないか。テンテン、君の意見は毎度のことながら色々と役に立つな」
「えっ!?冗談で言ったつもりだったんだけど……」
「いやいや、軽く考えてみたが私の性にはあっているのではないかと考えてな。今すぐにというのは無理だが、将来の選択肢としては中々にいいものだよ」
「そんな先の話よりも中忍試験の心配をして下さい」
ネジは既に買い物を終えたのか、袋を片手に下げて
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