暁 〜小説投稿サイト〜
Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
13話 修羅の矜持
[2/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
動の障害となっているのだ。

『うぁああああ!!あ、足が足がぁあああ!!!』

 通信機から仲間の悲鳴―――レーダーとデータリンクによる機体情報の共有…最後尾の一機が脚部に要撃級の超硬靭性を誇る一撃を足に受け、地面に倒れ堕ちた。
 要撃級の足元に有象無象に這っていた戦車級に集られ、その漆黒の機体は赤に埋もれつつあった。

『ちぃっ!!―――各員、通信回線を切れ、助ける余力は無い。』

 自分たちの隊長機であった山吹の瑞鶴はとっくの昔に奴らの腹の中だ。
 彼の断末魔は初陣間もない上に、隊長を失ったばかりの部下の心に―――深く突き刺さる。

『た、助け―――』
『慈悲だ―――!!』

 助けを求める同僚の瑞鶴へと左腕の支援突撃砲の照準を合わせ、その跳躍ユニットを狙い撃った――――。

 弾痕が穿たれそして、爆発………瑞鶴に圧し掛かり、コックピットを叩き潰そうとしていた要撃級と無数の戦車級が引火したロケット・ジェット燃料の大爆発に巻き込まれ粉みじんに吹き飛ぶ。

(赦せとも恨めとも言わん―――ただ、己の無力を恨め。)

 恐らく、苦しいと感じる間もなく吹き飛んだであろう戦友に心の中で呟く。BETAに生きたまま引き千切られながら、咀嚼されながら死ぬよりは遥かにマシだろう。

(それに中韓連合に斯衛軍の機密が漏れるのも看過できんしな―――)

 瑞鶴は如何に旧式とは言え、斯衛軍の主力機だ。
 その残骸がBETA支配下に成ることが確定しているとはいえ、他国の戦場に置き去りというのは捨て置けるものではない事態だ。
 特に、アップグレードされた電子装備やOSのリバースエンジニアリングがされればその弱点も露見し、零戦が空の覇者の座を奪われたのと同じことが起きる。

『これは介錯――味方殺しではない!』

 血を絞るように自らに言い訳にしか聞こえない呪詛を吐く。

 弱肉強食―――それが古今東西、あらゆる場所、あらゆる生命が履行してきた真理だ。
 それを超えるあらゆる倫理など、真理を誤魔化しているだけ……真実を目を背け、見えなくなっただけで安堵の息を突いている痴愚のなせる業だ。

 どんな綺麗ごとを飾ろうが、結局は力が全てなのだ。
 暴力・知力・財力・魅力―――全部力だ。力の性質は兎も角、この世界はすべからず力のみによって結果が決まる。

 彼が死んだのも、結局彼の実力が生き残るに足りなかっただけ―――それ以上でも、それ以下でもない。
 だが、その死は絶対に無碍であってはならないのだ。


『くっ―――帝国軍が馬鹿をやらなければこんな事には……!!』

 僚機が悪態を突く、本来であればこの地区は国連軍部隊が請け負っていた筈の地区だ。
 しかし、帝国軍と大東亜連合軍が上位指揮者である国連軍
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ