第3部 始祖の祈祷書
第2章 ルイズの恋煩い
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イプはふいごのようなものに繋がり、円筒の頂上には、タランクがついている。
そしてさらにさらに、車輪は扉のついた箱に、ギアを介してくっついている。
いったい何の授業をおっぱじめる気だろう?と、生徒たちは興味深くその装置を見守った。
コルベールはおほん、ともったいぶった咳をすると、語り始めた。
「えー、『火』系統の特徴を、誰かこの私に開帳してくれないかね?」
そういうと、教室を見回す。
教室中の視線が、キュルケに集まった。
ハルケギニアで『火』といえば、ゲルマニア貴族である。
その中でもツェルプストー家は名門であった。
そして彼女も二つ名の『微熱』のとおり、『火』系統が得意なのであった。
キュルケは授業中だというのに、つめの手入れを続けていた。
ヤスリで磨く爪から視線を外さず、気だるけに答えた。
「情熱と破壊が「火」の本領ですわ」
「そうとも!」
自身も『炎蛇』の二つ名をもつ、『火』のトライアングルメイジであるコルベールは、にっこりと笑って言った。
「だがしかし、情熱はともかく、『火』が司るものが破壊だけでは寂しいと、このコルベールは考えます。諸君、『火』は使いようですぞ。使いようによっては、いろんな楽しいことができるのです。いいかねミス・ツェルプストー。破壊するだけじゃない。戦いだけが『火』の見せ場ではない」
「トリステインの貴族に、『火』の講釈を承る道理はございませんわ」
キュルケは自信たっぷりに言い放つ。
コルベールは、キュルケの嫌味にも動じず、にこにこしている。
「でも、その妙なカラクリはなんですの?」
キュルケはきょとんとした顔で、机の上の装置を指さす。
「うふ、うふふ。よくぞ聞いてくれました。これは私が発明した装置ですぞ。油と、火の魔法を使って、動力を得る装置です」
クラスメイトはぽかんと口を開けて、その妙な装置に見入っている。
教室の後ろの壁にもたれているウルキオラは、その装置に見覚えがあったので、黙って見ている。
コルベールは続けた。
「まず、この『ふいご』で油を気化させる」
コルベールはしゅこしゅこと、足でふいごを踏んだ。
「すると、この円筒の中に、気化した油が放り込まれるのですぞ」
慎重な顔で、コルベールは円筒の横に開いた小さな穴に、杖の先端を差し込んだ。
呪文を唱える。
すると、断絶的な発火音が聞こえ、発火音は、続いて気化した油に引火し、爆発音に変わった。
「ほら!見てごらんなさい!この金属の円筒の中では、気化した油が爆発する力で上下にピストンが動いておる!」
すると、円筒の上にくっついたクランクが動き出し、車輪を回転させた。
回転した車輪は箱に
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