暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜Hero of the sorrow〜
フェアリィ・ダンス編 哀しみを背負った男達
ギルスと紅い鳥と恐竜グリード
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俺は目の前にいる人間へと言葉を発した。自分は死んだはずだというのに。その男はニヤニヤと笑いながら、こちらに近づいてくる。

「実験は成功だ。やぁ、被検体1号。僕はオベイロン」

僕は君を呼び出した、神だ。神、と男は自分で言った。

被検体と呼ばれたことにイラつきを感じたが、もっとイラつくのはこの男の口調だった。

彼奴(あいつ)に、800年前の王にとても似ているものを感じたからだ。

「ココは何処だ」

俺が聞くとオベイロンは私が作った世界だといった。此奴からは、王以上の欲望を感じた。

「俺は被検体なんて名前じゃねぇ」

「名を持っているというのか?」

その眼は、自分より上にいるものなどいないと思っている眼だった。

「俺の名前はアンクだ」

そう言った瞬間、オベイロンは笑った。

「いや、異世界の物にも名前があるとはねぇ」

その言葉は俺の逆鱗に触れていた。しかし、この世界のことを知っておきたいので怒りを抑えた。

「・・・何が目的だ」

「いい質問だ」

僕は力が欲しいのだよ、と男は言った。自分で神と言っておきながら、力がないというのは滑稽にも思えた。

「いいだろう。そのかわり、この世界のことを教えろ。あと・・・」

「なんだい」

気持ち悪い笑みを浮かべたオベイロンに、俺は要求する。

「毎日アイスをよこせ」

意外そうな顔になるオベイロンだったが、それを承諾した。

「協力してくれるなら、君にこの世界のことを教えよう。ついてきたまえ」

俺はオベイロンについて行った・・・・。



 和人の家


まどろみながら、俺は起きる。横には自分の妹が。

「どうなってるんだ、これは・・・」

俺は脳細胞をトップギアの如くフル回転させ、昨日のことを思い出す。

そうだ・・・須郷のことで深い絶望にとらわれた俺を、直葉が慰めてくれたのだ。

耐え難い恥ずかしさを感じた俺は、思わず

「子供かよ・・・」

と声を漏らした。そして直葉を起こそうと、体を揺らす。

「起きろ〜。朝稽古の時間が無くなるぞ」

う〜んと声を上げ、直葉が起きる。

「あ、おはよ、お兄ちゃん・・・」

直葉が体を上げると、ようやく自分の状況に気付いたようだ。

「あ、あのっ、あたしっ」

耳まで顔を赤くした直葉は、猛烈な勢いで部屋から出て行った。

その知らせは、俺がシャワーでも浴びようかと思って着替えを用意した時に届いた。

電子音が背後で響き、俺はデスクへと目をやる。椅子に腰を下ろし、メールを確認する。

差出人はなんと、エギルだった。リアルでエギルと会ったのは、二十日程前。

その時にメールアドレスを交換したのだ
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