第二話 『生存者』
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俺は今、自分に何が起こっているのかを完全には認識できていない。なぜなら、助けようとした男が、いきなり襲いかかってきたのだから。だが、こいつは今俺のことを殺そうとしている。その事実に変わりはない。だったら、みすみす殺されるわけにはいかない!
「いい加減に……いい加減にしろ!!」
俺はそういい放ちながら、首もとまで来ていた男の頭、側頭動脈が走る位置へと右手を放つ。
ガシィ!!
「うがぁ!」
よし!あれなら、脳震盪を起こして立てないはず。しかし、俺の予想に反して、この男は何もなかったかのように平然と立ち上がった。バイオ○ザードかよ!
「クソッ。なんなんだよこいつは!」
再び襲ってきた男の肘を極め、膝をへし折って地面になぎ倒しベルトで腕を拘束する。
「おとなしくしやがれ!」
こうして、暴れる男の腕をようやく締め上げたときだった。
「キャー!!」
「うわ!なんなんだ!やめろ!」
「警察だ!警察よべ!」
至るところでこの男と同じような奴等が、見境なく人を襲っている。
「一体何が起こってるんだ?」
その光景をみて唖然としながら、そう呟いたときだった。
ピロリロリロリ ピロリロリロリ
「もしもし?陵太か?どうしたんだよ。まだ授業中なんじゃ……」
『んなこといってる場合じゃねーんだよ!今大変なことになってるんだ。』
いつも落ち着いた感じの陵太がここまで取り乱していると言うことは、それ相応の出来事があったに違いない。
「何があったんだ?陵太」
『お前さ、今アラビアのほうで流行ってる変な病気のこと知ってるか?』
確か朝電車のなかで見ていたニュースでそんな記事を取り上げてた。狂犬病に似た病気で、まるで映画に出てくるゾンビのようになるといっていた。
「おい……まさか!?」
『ああ、そのまさかだよ。どうやら日本でも出たらしいな。しかもこの町でな。』
冗談だろ……。だが、さっき拘束した男もその病気の感染者なら話がつく。だとしたら、全校生徒700人以上の学校の中にいる陵太のほうが遥かに危険だ。
「陵太。お前今学校のどこだ?」
『音楽室に立て籠ってる。別科の生徒も何人か』
なるほど。音楽室には分厚い扉と非常時の脱出用梯子がある。さすが陵太だ。短時間で最も安全な場所を判断したのか。手近の生徒もかき集めて。とは言え危険な状況だということにはなんらかわりない。
「わかった。それなら……」
俺が次の言葉をいいかけたときだった。
『ブチッ』
「もしもし?陵太?」
『……お掛けになった電話番号は電波の届かないところにあるか……』
「おい!陵太!?陵太!」
クソッ。電話局もやられたみたいだな。これ
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