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我が剣は愛する者の為に
修行編 その二
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困で苦しみ、やがて死んでいく。
負のスパイラルだ。
俺は確実に強くなっている気がする。
師匠との打ち合いもある程度はさばけ、体力もついてきた。
背も伸びてきて長かった刀は振り回しやすくなってきて、手も足も伸びてきた。
強くなればいずれ、どこかに仕える事になるだろう。
それでもいいと最初は思っていた。
けど、旅をしていて心の奥底で思ったのだ。
この剣で大事な人以外の人も救える事はできないのか?
多分、それには限界がある。
俺は人だ。
神様でも何でもない。
俺個人が救える数などたかが知れている。

(考えても無駄だな。
 何より修行中の俺にそれを考えた所で意味ないだろ。)

俺は考えるのやめて目を瞑って寝る事にする。
しかし、目を瞑っても長い間眠る事ができなかった。






路銀が少なくなってきた。
いつもの事だ。
街で何かしらを買う事があるのなら金が必要になる。
最初の方は俺の服を買うのに結構使っていたので、路銀が少なくなってきたのだろう。
いつも通り大きな街に向かい、傭兵として一時的に雇ってもらう。
ただ今回の違いは。

「縁、お前も参加しろ。」

そう、俺も賊の討伐に参加する事になったのだ。
二人なら報酬金は倍になる。
近くの街に入ると兵士を募集している張り紙があった。
それを見て、城の受付のような場所に向かう。
師匠が手続きをしに行っている間、俺は近くの壁に背中を預ける。
俺がこうやって戦場に出るのは初めてだ。
つまり、人を殺した事がない。
賊の討伐という事は賊を殺さないといけない。
俺は賊が嫌いだ。
父と母の命を奪い、母さんを傷つけた賊が大嫌いだ。
今までは木刀で相手していたので当たり所に気をつければ、命を奪う事はなかった。
しかし、俺は刀、人を殺す武器を手にしている。
傭兵としての手続きを終えた師匠が刀を見つめながら立っている俺に話しかける。

「恐いか?」

俺が何を思っているのか分かったのか、師匠が話しかけてくる。
その言葉に俺は頷く。

「人の命を奪うのが恐いです。」

賊は嫌いだ。
でも、命を奪うまで憎しみがあるのかといえばそうでもない。
あれは俺に力がなかっただけだ。
前の世界でも暴力などそういった世界から無縁の所で生きていた。
師匠は刀を握っている俺の手に自分の手を重ねる。

「この戦い、私は縁に何があっても無視する。
 自分の力だけでこの場を乗り越えろ。」

「これも修行ですか?」

「そうだ。
 避けて通る事のできない道だ。」

それだけ言って、師匠は俺の元から離されていく。
少しして俺達を取り仕切る将軍が現れる。
賊の集団はここから少し離れた廃墟となった砦に籠城しているらしい。
正規軍で
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