十四話:ちょろ甘だな
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。
でも……その時、僕達はまだ、敵の本当の恐ろしさを少しも理解していなかった。
【作戦その一:他の仕事を頼んでその隙に料理を作ろう作戦】
この作戦はその名の通りにルドガー君に他の仕事をしていてもらっている間に
台所を占拠して料理を作られる前に作ってしまおうと言う作戦だ。
方法は至ってシンプルだ。部長が彼に他の仕事を頼み、その間に僕達が占拠する
それだけの事だ。必ず成功する……そう思っていた時期が僕にもあったんだ。
「ルドガー、あなたに頼みたいことがあるんだけど」
「なんですか? 部長」
部長がルドガー君に近づき、作戦通りに仕事を言い渡す。
「あなたにはこの別荘の掃除をして欲しいんだけど」
「終わりましたよ?」
「広くて大変だと思うけど頑張って―――え?」
予想外過ぎる返事に目を丸くして固まる部長。
因みに影から見守っている僕達も予想外の出来事に固まっている。
そしてよくよく見てみるとルドガー君の頭には三角巾が着けてあった
ま、まさか彼はいつもあれを着けて掃除をしているというのかい!?
「早く起きて時間があったので掃除はその時に終わらせました。確かに広かったですけどやりがいがあって楽しかったですよ」
一切の疲れも感じさせない笑顔でそう言い放つルドガー君にその場にいる全員が戦慄する
この広い別荘を短時間で全て掃除して疲れを見せないなんて
彼は一体どれだけの掃除スキルを持っていると言うんだい!?
「じゃ、じゃあ、お風呂をお願い――「それも終わりました」――そ、そんな……」
間髪も入れず返される無慈悲な言葉に部長が崩れ落ちる。
まさか、部長がやられるなんて……ここは戦略的撤退をするべきかな?
そんなことを考えていた時だった―――
「きゃっ!?」
「アーシア!?」
突如、アーシアさんが何もない所で転んで敵にその姿を晒してしまったのだ。
早くなんとかしないと…っ!
「大丈夫か? アーシア」
「あうう……ルドガーさん、ありがとうございます」
遅かった。既にアーシアさんはルドガー君の手において助け起こされていた。
これじゃあ、撤退が出来ない……どうしようか。
「あ! ……はうう、どうしましょう。服が破れてしまいました」
「ホントだな。こけた時にどこかに引っかけたのかもな」
少し、涙目になり悲しそうに少し破れた服を見つめるアーシアさん。
その姿に動揺して少しあたりを見まわすルドガー君。
ひょっとすると、これはチャンスかもしれないね。
もしかしたら、悲しんでいるアーシアさんを元気づけるために何かするために
あの場から離れてくれるかもしれない。その隙に台所を占領すれば―――
「ああ、あった、あった。アーシア、ちょっ
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