十四話:ちょろ甘だな
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ね。
朱乃さんも部長の手前、食べないと言うわけにはいかなくなりいつもの微笑みを捨てて
まるで、親の仇を見るかのような目をして目の前のトマト料理と格闘している。
「ふふふふふ……ふふふふふふ!」
正し、朱乃さんが正気を保てているかどうかは僕には分からない。
「お、俺だって赤龍帝なんだ…! トマト位で…挫けてたまるかよ!!」
「イッセーさん、ダメです! それ以上はイッセーさんが!!」
「大丈夫だ、アーシア……ただのトマトなんだぜ? そんな物に負けるかよ!」
「イッセーさん!!!」
「う…美味い……だから余計に辛い!!」
そして、こちらもまるで今から死地に向かおうかとしているのかと疑いたくなる程
真剣な表情で料理を口に運び続けるイッセー君。
そしてその様子を悲痛の面持ちで見つめるアーシアさん。
もう、僕には何が起きているのかなんて分からない。
「どうした、祐斗? 食欲がないのか?」
まるで、ただ一人食べていない僕を責めるかのようにそう尋ねてくるルドガー君……
どうしてだろうか? 彼はいつもの様に笑顔を浮かべているだけなのにその後ろに
眼鏡をかけた鬼がいるような気がする……きっと、見間違いだね、うん。
「大丈夫、今から食べるよ……食べるよ」
僕は彼にそう返して目の前の料理を口に運ぶのだった。
「みんな、今回集まってもらった理由は他でもない
ルドガーの『トマト料理地獄』を止めるためよ!」
草木も眠る深夜、ろうそくの明かりを囲んで僕達は作戦会議を行っていた。
勿論、議題は先ほど部長がいったようにルドガー君の『トマト料理地獄』をいかにして
止めるかだ。ふざけた議題に聞こえるかもしれないが僕達は大真面目だ。
「あれ? そう言えば小猫ちゃんがいない」
キョロキョロとあたりを見まわして小猫ちゃんを探すイッセー君の言う通りに
この場には小猫ちゃんはいない。
まさかとは思っていたけど小猫ちゃんはやっぱり―――
「イッセー……小猫はあちら側に落ちたのよ」
「そんな!? ど、どうしてすか、部長!?」
「イッセー、静かにしなさい。敵に気づかれるわ」
部長が口に指をあて静かにするように促すと、イッセー君はハッとしたように
すぐに口を閉じて扉の方を見つめる。
同じ家にいる以上は大きな声を出したら気づかれる可能性があるからね。
「落ち着いて聞いて頂戴……今回、小猫は間違いなくルドガー側につくと思って呼ばなかったの」
「どうして、そう思ったんですか?」
「あなた、小猫が食事中に辛そうにしているのを見たことがある?」
「そ、そう言えば、あのトマト地獄でもいつも通り食べてたような……」
そう、イッセー君の言う通り小猫ちゃんはあのトマト地獄を全
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