暁 〜小説投稿サイト〜
ルドガーinD×D (改)
十四話:ちょろ甘だな
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Side木場祐斗



――赤い――



今、僕達の目の前に広がって行っている光景を一言で言い表せばそうとしか言えない。
まるで、燃えたぎる炎のように――流れる血のように――それは赤い。
何度、目をこすってそれは嘘だと否定しようとしても僕の目から赤色が消えることない。

他のみんなもそんな光景に辛そうな表情を浮かべている。
いや、ただ一人、小猫ちゃんだけはそんな光景を前にしてもいつも通りの行動を
しているだけだった。その行動は―――


「……ルドガー先輩、おかわりお願いします」


「分かった。トマトをふんだんに使ったミネストローネのおかわりだな」


目の前に広がる、赤の魔境―――トマト料理の数々を食していくだけだ。
山籠もりに来て、今日でちょうど5日目、トマト料理が食卓に上がらなかった日はない。
いや、どちらかと言うとトマト料理以外が食卓に上がらなかった。

……簡単に言うと、今、僕達はトマト料理が余りに続き過ぎるこの現状に飽きている
ううん……もはや拒絶反応を起こしかけていると言った方が正しいかもしれない。

「あはは…トマト、トマトが一杯です。ほら、あんな所にも浮いていますよ? イッセーさん」
「アーシア、目を覚ませ! それはきっと幻覚だ!!」

若干壊れ気味に笑いながら何もない空間を指さしてトマトがあると言うアーシアさんを
イッセー君が慌てて揺すって正気に戻そうとする。
食事は体作りの基本だけどまさか精神にまでここまでの
影響を及ぼすとは思ってなかったよ……ルドガー君、君はなんて恐ろしい人間なんだ…!

鼻歌を歌いながらお皿におかわりをよそっていくルドガー君を見て、
思わず畏怖の念を覚えてしまう。どうすればあそこまでトマトを愛せるのだろうか?
それとも彼の体はトマトで出来ているとでもいうのだろうか?

ああ、そう言えばさっきから僕の思考も殆どトマト、トマト、トマト…
と言い続けているような……ダメだ。こんなところで心が挫けるようじゃ何も出来ない。
これはきっと彼からの試練なんだ、この程度のことも耐えられない様じゃ今度の
『レーティングゲーム』には勝てないと彼は言っているんだ、きっと。

「ふふふふふ……紅髪の滅殺姫(べにがみのルイン・プリンセス)と呼ばれる私がトマト如きの赤色でまいったなんて……冗談じゃないわ。食べるわ、どんなことがあっても私は逃げ出さない!」

こちらも若干壊れ気味に笑ってはいるが料理を食べれているのは
流石は僕達の部長と言ったところだろう。素直に尊敬します、部長。

「美味しい…本当に美味しいわ……だからよ…だからこそ余計に苦しくなるのよ!」

ただし、その目から涙が零れ落ちているのは見ないふりをしないといけない
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