8-2話
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は旅客機の近くよ」
秩序を失った飛べない鉄の砦。
獣に荒らされたこの場所に二度と来るつもりはなかったけど、この仔がアタシ達を呼び寄せた。
それが来てみれば……。
「―――よりにもよって獣よりも面倒なのに捕まったわね」
ただの猛獣に襲われる方がまだマシだと思えるような事態だった。
「あれはっ…真理谷、くむぅっ…!?」
驚きに大声をあげようとした赤神りおんの口を塞いだ。
そこには、大勢に取り囲まれた真理谷と、CAの人がいた。
衣服を繋ぎ合わせて代用しただけの縄とは言えないもので、上半身をグルグル巻きにした程度の粗末な縛り方で拘束されている。
…とりあえず、死んでない事にちょっとだけ安堵した。
「大声出さないの。 あの子と知り合い?」
「っ…んむぐぐ…!」
首を縦に、そして今度は横に振った。
…どっちなのよ?
「ぷぁ……あの、クラスメイトです。 親しくしてた、というわけじゃないですけど有名なんです」
「ふ〜ん」
それで肯定と否定って事ね。
クラスメイト以上友達以下って所かしら、未満じゃない程度に微妙なラインで。
あの真理谷って子、気難しそうだし。
「どうやら捕まってるのは…あの二人だけのようね」
「みたいですね…」
二人だけってのがちょっと気になる。 もう一人は…仙石はどうなったのだろうか?
「周りの人達…すごく怖い顔してる……」
「一晩明けても、やはり暴徒化したままみたいね。 あれじゃあ獣と同じよ。 可哀想に、あの二人は猛獣に囲まれたも同然ね」
「そんなっ…!」
半端な理性で暴力的になっている人間。
心の均衡を失っている人間の集まりは、集団意識と相まって本当に厄介だ。
暴徒化してても一般人集団に変わりはないから、単純な暴力による力押しの手段は躊躇う相手だ。
ならどうするか。 面倒じゃない選択肢はあるにはある。
「面倒だし危険だから見捨てる?」
一応の確認。
「で、出来るわけないじゃないですか…!!」
「でしょうね」
勿論アタシも本音で言っているわけじゃない。
アタシとしても一度しか会ってなくて自己紹介もしていない、だけど知った顔をわざわざ目の前で見捨てるというのは気分がいいものじゃない。
けど…今のはちょっと意地悪だったわね。
「冗談はさておいて、今この瞬間に乱暴されてるわけじゃないから、どうすればいいか…考えるとしましょう」
「は…はいっ」
いくつか選択肢を脳裏に浮かべた。
ざっと考えてこんなところだ。
1.すぐに飛び込んで全員
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