暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
83話:裸のつきあい…偶には悪くないか
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 数瞬の沈黙。双方共に視線を合わせた状態で動きが止まっている。まるでかのスタンド能力のごとく、時が止まったかのようだ。
 しかし体を滴る水は止まる事はない。重力に逆らわず、それぞれの体を沿って落ちていく。フェイトの水は風呂の水だろうか。俺の顔を流れるのは、明らかに冷や汗だ。

 っていや、変な事考えている場合じゃねぇだろ!?


「俺すぐ上がるから、ゆっくり入ってろ!」
「あ、いや、でも…!」


 頭に乗せていたタオルを取り、縁にある岩に手をかけて力を入れる。フェイトはその様子を見て慌てて止めようとタオルを持ってない手を前に出してきた。


「えっと…あのね…?」
「え…?」
「一緒に入っても、いい…?」













「「………」」


 再び流れる沈黙、二人して海鳴の夜空の下で湯に浸かっている。
 しかしまぁ、流石に真正面に対する訳にもいかないし、リラックスして足を大っぴらに開く訳にもいかないので、お互いにタオルを湯に浸けて背中を合わせた状態で黙りこくっていた。

 俺はせめて距離を置かせて欲しいと抗議したが、フェイトがそれを許さずにずっと背中をくっつけてくる。
 いやしかし、これマズくないか? というか、なんで露天風呂で男女が一緒になるんだよ!? まさかとは思うが、ここ…!


「ねぇ、ここ混浴露天風呂みたいだね」
「なぬ!? そんな事何処に…!?」
「こっちの方に…」


 急いでフェイトの言う混浴風呂だという証明になる物を確認する為に、そっちに向こうとする。だがそれは丁度フェイトの正面らしい。当然フェイトの顔が眼前に―――


「「っ…!」」


 ち、近っ! あれは近過ぎだろ! 流石に戸惑う距離だ。
 しかし、なんでフェイトは俺を止めたんだ? こいつだってこんな事やるような奴じゃないのは、よく知ってるつもりだったが……


「あ、あのね…?」
「んぁ?」


 するとフェイトは背中越しに話し始めた。声色からは、若干の戸惑いを伴っていた。いや、戸惑いだけじゃなく躊躇いも伴っているようだ。


「…お礼を、言いたいんだけど……」
「……は? 礼?」


 フェイトの口から何が飛んでくるかと思えば、礼とはどういう事だろうか。


「いや、私執務官としての仕事ばっかであんまりエリオやキャロの訓練を見てあげられてないし……」
「それは別に問題ないだろ。その仕事はお前しかできないことなんだし…」
「二人のこと、士に任せっきりだったし……」
「別に任されてる訳じゃねぇしな。二人だってちゃんと自律してるし、スバルやティアナだっている」
「さっきはやてに聞いたんだけど、私達の書類仕事の何割かを士がしてるって
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