-第4話〜燃える聖誕祭〜
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「クソ…どうしてこんな時に…」
東の戦闘が気になって仕方がないタズ、タナ、ティアナはさっさとゲカアウタレスを処理し、急いで東に向かった。特にオオカミ型を気にかけていたティアナは不安の色を隠せなかった。三人が東の現場に着いた頃、ぼろぼろになったオオカミ型が袋叩きにあっていた。傷だらけになっていたオオカミ型は全てを無視し、唯クマ型だけを狙い攻撃していた。オオカミ型の素早い牙に対し、クマ型は腕の大きな爪の一撃で応戦する。ヒカアウタレス同士が傷つけあう。そんな光景を目の当たりにし、ティアナは膝を突いて言葉を失う。
「こういう事もあるわ…見てて辛いけど…」
タナはティアナをそっと抱き寄せた。タズはヴィハ少尉の元へ行き、状況の詳細を求める。
「状況は?」
「見ての通りだ。オオカミ型が再び村に向かっていった。やむなく我々は奴を追撃、その後クマ型が現れた。以前と同様クマ型はオオカミ型を攻撃、我々に加勢した。またクマ型に助けられる形になった。オオカミ型については残念だが諦めてくれ。人に危害を加えるなら我々の敵だ。」
「そうか…」
クマ型との戦闘の末、オオカミ型は倒れ、横たわった。クマ型はオオカミ型に近付き、腕を振り上げた。
「やめてぇえええええ!!!」
ティアナは反射的にクマ型に突っ込み、クマ型の腕を殴った。一瞬ヒカの閃きの後、ティアナはオオカミ型の横に着地する。
「あれ?」
ティアナは自身の拳に違和感を覚えた。それを見ていたタズは何かを悟る。ティアナは我に返り、人の味方になるヒカアウタレスを攻撃した事に重責を感じた。周囲にいた人間も同様、ティアナの過ちに騒然としていた。クマ型はティアナを睨みつけ、彼女の方へ歩いていく。そこへタズが駆け寄り、いきなりヒカを褒め称え始めた。
「おお、全知全能なるヒカのしもべよ。そなたに天の祝福を。今こそヒカの大いなる御業を褒め称えよう…」
その場にいた人間は唖然とし、タズが狂ったと見て取った。タナは黙ってそれを見守る。タズの声を聞いたクマ型は一度タズに振り返り、再びティアナを向いた。
「悪しきゲカを撃ち滅ぼし、汚れたものを打ち砕く。ヒカの栄光は何ものにも代えがたい…」
ヒカを賛美するタズをクマ型は無視した。そこでタズはクマ型の前で向き合い、大声を上げる。
「忌まわしきゲカはヒカには打ち勝てず、ヒカの前では敗北を得るのみである…」
タズの中に眠るゲカが疼くように黒いオーラを放った。苦しみながらも、タズは続ける。
「ゲカはヒカの許しなくては何もできず、滅びの時まで抗い、最後には膝を突いて朽ちていく…」
クマ型は身震いし、痺れを切らしタズを向き腕を振り上げた。タズは笑みをこぼし、懐からショットリボルバーを抜き、クマ型目掛けてぶっ放した。放たれた一発の弾丸は白い閃光を放ちクマ型の顔面を直撃する。
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