-第3話〜子供達のヒーロー〜
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Santa's Claws〜サンタズ・クローズ〜
-第3話-
ムスタ・プキン村より北西約15km、そこは吹雪の中だった。視界が悪く、何もない雪上を、ポンチョを着た女が寒そうに歩いていた。名をサン・ティアナ・ローズ。18歳。しばらく歩いていると、彼女は雪に覆われた岩の上で身動きが取れないトナカイを見つけた。足場が狭く、トナカイは今にも落ちそうだった。
「今行くから動かないでね。」
トナカイを驚かせないようにティアナはそっと語り掛け、彼女は岩を登り始めた。しかしトナカイは足を踏み外し、そのまま滑り落ちた。ティアナは咄嗟に跳び空中でトナカイを捕まえ、そのまま地面に落ちた。仰向けに大の字になったティアナがクッションとなり、彼女の上にいたトナカイは無傷だった。
「いたたた…」
びっくりしたトナカイはそのまま走り出し、別のトナカイに出くわした。トナカイの家族だろうか、それを見たティアナは横になったまま安堵の表情を浮かべる。
「良かったぁ。元気そうで。」
彼女はゆっくりと身を起こし、トナカイ達に尋ねる。
「ねぇ、君達。ここどこだか分かる?」
-第3話〜子供達のヒーロー〜
コウモリ型アウタレス襲撃事件から数日、村の周囲で出没したゲカアウタレスの件数は更に増えていった。聖誕祭が迫る中、住民のゲカアウタレスに対する不安はゲカプラントに向けられていた。プラント内にあるゲカを使用した燃料に、ゲカアウタレスが引き寄せられているという推測が最も有力だったからだ。ゲカプラントに反対する意見も増え、今回も村役場で議論が交わされていた。役場の外では会議が終わるのを待つタズとタナの姿があった。やや疲れ気味のタズが言った。
「そっちはどうだ?」
「使える奴から仕事を振り分けているけど手が足りないわ…私も出撃した方がいいかしら。」
タナも疲れが溜まっている様子だ。
「お前は俺達に指示を送るのが仕事だ。」
「過保護ね…しかし参ったわ。ゲカアウタレスの出没件数がどんどん増えている。」
「住民の不満もな。聖誕祭に向けて忙しい時期に面倒なこった。」
タナは煙草に火を付ける。
「みんなが思うように、ゲカプラントで使用されるゲカを使用した燃料が原因なのかしら…」
タズもタナから煙草を貰う。
「悪い。しかしこのままだとプラントの停止どころじゃないな…どうやら終わったようだな。」
役場からぞくぞくと人が出てきた。その中にスフェルとパワードアーマーに乗ったヒュオリ警部がいた。二人はタズとタナに気付き、こちらにやってきた。タズが先に口を開く。
「どうだった?」
ヒュオリ警部がパワードアーマーから顔を出す。
「どうもこうもない。聖誕祭だの、村の安全だの、ゲカプラントの撤去だの、みんな言いたい放題だ。役員の多くはゲカプラントの即停止を訴えている
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