CENTRAL
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「そうか」
「はい。最後にヒューズさんのお墓と家を教えてください」
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一度実家に帰り、身軽になってからヒューズさんのお墓参りをした。
ヒューズさんのお墓は中央の中心部から少し離れた郊外にあった。
静かなそこは、生前賑やかだったヒューズさんにはあまり似合わない、なんて妙な事を思った。
持ってきた菊を一輪墓石の前に膝をおって、そっと置く。
墓石を見る。そこには『殉職で二階級特進 ヒューズ准将』と彫られていた。もうヒューズ中佐と呼べないなんて。ますますここはヒューズさんに似合わない。
「ヒューズさん。私は貴方が死んで………… 死んでしまったなんて、信じられません」
出した声は震えていて情けないことになっていた。いつの間にか涙も頬を伝っている。
そのあとしばらく泣き続けた。
ひとしきり泣いたあと、濡れてしまったハンカチを折りたたみポケットに入れた。
「……ヒューズ…中佐、また来ます」
どうやらまだ私は認められないらしい。
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気もそぞろにマスタングさんに教えられた住所に向かった。
閑静な住宅街にあるヒューズさんの家は主が居なくなってしまった悲しみを表しているかのように静まり返っていた。
扉の前に立ち、ドアノッカーを三回鳴らす。
「ソフィア・キャンベルともうします。ヒューズ准将の元同僚でマスタング大佐の紹介で来ました」
ここは便宜上、准将と呼んでおく。
ややあって中から奥さんと思われる優しげな女性が出てくる。左手は娘さんと繋がれている。
「こんにちは、ソフィア・キャンベルです。これ良かったらお食べください」
途中で買ってきたお菓子を差し出す。
「ありがとう。いただくわね。私はグレイシアよ。娘はエリシア」
奥に通された私は応接間で奥さんと向き合い、出されたお茶を飲んでいる。
「今日こちらを訪ねたのはお礼を言いたかったんです」
「お礼、ですか?」
そう、お礼だ。
私はヒューズさんにイシュヴァールの時、多大な恩を受けた。それこそ返せないほどの。それ以外にもいろいろとお世話になっている。イシュヴァールの前だが両親が死んでしまった時も途方に暮れる私の面倒を見てくれた。
それらのお礼をするために今日ここに来たのだ。
「本当に、お世話になりました」
「……そうだったのですか。夫らしいわ」
説明するとグレイシア夫人は懐かしそうに微笑んだ。
それからは私とヒューズさんの話を語った。グレイシア夫人はそれを時には笑ったり、時には懐かしんだりして楽しんでくれたと思う。
結局、話し込んでしまいお夕飯を頂いてしまった。ヒューズ中佐の家族は家族まで優しかった。エリシアちゃんとも仲良くなれたし。
お暇する時にもう一度お礼を言う。
「今日は重ね
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