CENTRAL
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味だろう。
隣のエドワード君もそのようで、は?と困惑している。
マスタングさんは私たちに背を向ける。
「………………田舎に引っ込んだよ。近頃ここも物騒なんでな。夫人と子供を連れて田舎に帰った。家業を継ぐそうだ。もうここにはいない」
エドワード君が残念そうに頭をかく。
「軍人て危ない仕事だもんね」
「会いたかったのになー」
アルフォンス君とウィンリィさんも口々に残念がる。
しかし私だけは何も言えずにいた。
「………………」
私は知っている。ヒューズさんのお父さんはすでに他界している。その際にお母さん一人では切り盛りできないと家業も廃業になってしまったそうだ。だからマスタングさんの言うことが私には理解できなかった。
なぜ、三人にはウソをつくのか。なぜ、私だけにはすぐにバレるウソをつくのか。
イヤな確信が心の奥底から滲んでくる。
「賢者の石と人造人間だったな。何か情報があったら連絡しよう。行くぞ中尉」
「はい」
「鋼の、先走って無茶な事はするなよ」
「? あぁ程々にしとくよ」
「それとソフィア、話がある」
「はい、私もいろいろと」
ここでエドワード君たちとは別れ、マスタングさんの横を歩く。
しばらくのあいだ会話はせずに三人のあいだには硬質な足音だけが響く。しかし不意にマスタングさんが口を開いた。
「ヒューズは死んだ。殺された」
「…………はい」
半ば確信していたとはいえ親しい人の死に顔を俯ける。さらに殺されたと言うことが信じられなかった。あのみんなから愛されるべき人柄の人が悪意を向けられ殺されてしまうなんて。
一体ヒューズさんの身に何が起こったというのだろう。
「今から言うことは君を信頼しているから話す。…鋼のが賢者の石と言っていただろう。それに纏わる奴等がヒューズを殺した可能性が高い。そして軍上層部が絡んでいる」
「……なぜ私だけに?」
エドワード君たちにも言うべきだと思うのだが。賢者の石に関わることでヒューズさんは亡くなったのだ。遠因を作ったのは間違いなく彼ら。しかしそんな理屈を抜きにしても知る権利があると思う。
ホークアイさんもそう思っているらしく珍しく顔に微かな不満が浮かんでいる。
「あの兄弟にとって前進するのに邪魔なものはなるべく少ない方がいい」
「……そうですか」
再び靴の音だけが空間を支配する。私も黙って歩を進める。ここで別れてもいいのだが、まだ話は終わっていない気がした。
「………なんてな」
マスタングさんは立ち止まって上を向いた。
「…私もアームストロング少佐の事をお人好しとは言っていられんな」
「私もきっとマスタングさんと同じ立場なら同じことをしていたと思います」
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